無駄話題も面白ければ取り上げるので役に立つかは人次第、ときには時間の無駄と思われても知人に教えて輪を広げる。それこそコネタの流儀!

2011年11月30日水曜日

ダイエット失敗は「かくれ不眠」のせい?

睡眠が足りないくらい忙しいといろんなことを失敗したり事故に逢い掛けたりして危険です。効率よく時間に使うためにも適度な眠りも必要ってことですね。
 
「ダイエットが上手くいかない」「肌が荒れてもーやだ」と飲み屋で開催される女子会でそんなことをぼやく女子は実は“かくれ不眠”なのかもしれない!

“かくれ不眠”とは不眠症までいかなくても、よい眠りをとれていない人、それに気づかず対処をしていない人の総称であると『快眠美人になる! 「かくれ不眠」解消で毎日いきいき』で紹介されている。
本書では健康と美容と眠りの関係、快眠の仕方が女性ならではの悩みに合わせて教えてくれる。

本書の担当編集者に話を伺った。
「以前から、多くの働く女性たちが“満足できる眠り”をとれていないこと、“眠りと美容”には大きく関係があることを聞いていたので関連する企画が出せないかと考えていました。
さらに、3・11の東日本大震災以降メディアの情報などから、直接震災被害のなかった人たちも、日常に不安感が強くなり、“かくれ不眠”が増加していることや、もともと不眠傾向にあった人たちの状況が深刻化していることを知り、ぜひ睡眠を改善するための本を作りたいと思いました」

あの地震を東京で経験した私もしばらくは安心して夜を眠れなかったことを思い出した。
こわい経験をして快眠することができなくなってしまった方は女性に限らず少なくないと思うが、“かくれ不眠”は男性と女性、どちらに多いのだろう?

「“かくれ不眠”はストレスによるものが多く、基本的に性別は関係ありませんが、
女性の場合、生理的な周期から昼間でも眠くなるような時期があるので、そこでリズムが崩れると“かくれ不眠”になりやすいかもしれません。また、女性に多い“冷え”もよい眠りを害しますから、これによって睡眠がうまくとれなくなる方もいるかもしれません。逆に、よい睡眠をとらないことによって“冷え”が促進されてしまうこともあります」

女性の大敵“冷え”も“かくれ不眠”と関係があると知れば、睡眠改善の意識が高まるのではないだろうか。
ちなみに寝不足だと、お腹が減りやすく、満腹感が感じにくくなって、ダイエットが上手くいかないとのこと。
 
健康で明るく、さらに痩せたい!とちょっと欲張りな女子の願いもちゃんと睡眠を改善できれば叶わない願いではないようだ。

2011年11月27日日曜日

海底で読める『海底2万マイル』

風呂場で本を読むことがありますが、未だにそのままドボンと湯船に落としたことはありませんね。流石に湿気をすってややふやけたりしますが。特に文庫だと紙が薄いですし・・・。

昔から、よく見る夢がある。それは「住んでいる世界が、全て水の中」という、シュールなシチュエーションの夢。職場にも学校にも、泳いで行く。そして、水中で仕事や勉強を。
恐らく、私が少年時代にスイミングスクールに通っていた経験が影響しているのだろう。手前味噌極まりないですが。

そんな私には、この本が非常にありがたい。エス株式会社から、9月より『海底2万マイル海底版』が発売されているのだ。
皆さん、『海底2万マイル』という作品は御存知でしょうか? これは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが1870年に発表した小説。海を舞台とした、SF冒険ものの金字塔である。
この名作を、海底で読んでみたくないか? 『海底2万マイル』だけに。そんな夢を現実にしたのが、今回の『海底2万マイル海底版』である。要するに、水中(海底)で読める本が開発されたのだ。

それにしても、なんでこんな本を作ろうと思ったのだろう?
「『ストーンペーパー』という、木材(パルプ)を一切使わず作られた、濡れても破れない紙の情報を入手しました。そこから、この本の製作を思いついたんです」(同社・担当者)
ただ、紆余曲折もあったという。「濡れる」から連想し、他の作品の製作を考えた過去があるのだ。例えば、雨に濡れても大丈夫な宮沢賢治の『雨ニモマケズ』とか……。

でも、結局は『海底2万マイル』に落ち着いた。何しろ、“雨”よりもたくさん濡れる場所は“海”、それも海底なのだから。
「当社は英会話教材『エブリデイイングリッシュ』も販売しております。そこで、英語の教材としてもご利用していただくために、『海底2万マイル』の本文を英語にして出版いたしました」(同社代表取締役社長・児玉昇司さん)
そうですか。何にせよ、私も水の中で本を読んでみたい! というわけで、実際に自宅の湯船に潜りながら読書にチャレンジしてみましたよ。

まず、実際に本を手に取ってみると、本当に普通の紙のように感じる。

変にかたかったり、厚かったりってことはない。小説本によく扱われている、いつものめくりやすい紙みたいだ。
そして、小説の内容を確認。……ズラーッと、英語の文章が印刷されている。もちろん、私は読めない。その点については残念なのだが、自分なりに雰囲気だけでも満喫することにしよう。

では、ついに水中メガネを装着します。そして潜水! そして、一緒に本もお湯にザブン! 
さて、肝心の本の様子はどうか? これが、いい感じなのだ。字がにじまないし、紙も破れない。水中でペラペラめくれるし、潜りながらの読書も余裕。なんとまぁ、ミラクルな紙だな……。

ところで、この本はどのくらいの深さまで耐えてくれるのだろうか?
「現在、沖縄でプロモーションビデオの撮影を行っております。そこでは、水深5メートルまで耐えることを確認しております」(担当者)
この担当者自身、「海底でも読書はできるのですね……」と自社の本のタフネスにかなり感動していた様子。というか、沖縄にまで行って大がかりな!

そんな感動を呼ぶ『海底2万マイル海底版』は、同社サイトにて販売されている。価格は2,980円(税込み)。

現実的な話をすると、普通の入浴時にもピッタリな本ではないだろうか? 湯船で休まりながら読んでも大丈夫だし、手が疲れたらお湯の中に本を浸けちゃってもいい。そんな扱いでも、『海底2万マイル海底版』は何食わぬ顔だ。
「実際に、『お風呂で読めるから良い』といった反響もいただいております」(担当者)

お風呂場でもいいし、海底でもいい。……でも、本当は海底で読みたい。海底で『海底2万マイル』を読む。そんな夢を現実にする書籍の誕生です。

2011年11月26日土曜日

転んだ時に頭を守ってくれる保護帽

物理障害的トラブルにあったときにまず守りたいのが頭。一撃で病院送り以前の状態もありうるのが怖いところ。守れといわれても堅いものだと重量はありますし、難しいものです。

冬支度をそろそろ始める頃。あたたかい洋服、あたたかい靴、そしてあたたかい帽子など、防寒のために必要なアイテムがいろいろと浮かぶ。

防寒対策に加えてもう一つ、考慮したいことがある。それは冬の凍てつく道、寒い雨で滑りやすくなっている道の上を歩いたり、自転車をこいだりする際の対策である。あなたはどんな対策を練っておられるだろうか。

たとえば帽子。あたたかいだけではなくて、頭を保護してくれるものが欲しい。そこでみつけたのが『abonet+JARI』(アボネット+ジャリ)。株式会社特殊衣料が財団法人日本自動車研究所と共同開発した新しい頭部保護帽で、11月から販売されている商品である。

「今から約20年前、『軽くて洗えるおしゃれな保護帽がほしい』という声から始まった保護帽開発。その後2000年の秋に、札幌市と札幌市立高等専門学校(現:札幌市立大学)との産学官連携による『福祉用具のデザイン開発・研究プロジェクト』から、頭部保護帽『abonet』が生まれました。今では当社のオリジナル商品の中心的存在となっています」と特殊衣料の担当者。

ともに開発にあたったのは財団法人日本自動車研究所(JARI)。1969年に車社会の健全な進展に貢献することを使命とした公益法人として発足し、自動車に関する総合的かつ先進的な研究に挑み続けている試験研究機関のことである。

JARIの研究グループの1つである衝突安全グループは、交通事故時の乗員や歩行者の安全性に関する研究、ならびに人体の障がい発生メカニズムに関する研究などを実施している。実際の車両や人体ダミーなどを用いた衝突実験や、人体を模擬したコンピューターシミュレーションモデルを用いた障がい発生メカニズム解析などを行うことで、車両開発に有益な情報を自動車業界に提供し、国内外問わず、車両の衝突安全性に関する基準の策定などの大きく貢献している。

「今後の少子・高齢化社会に向けて、これまでにない『より安全で、より快適な』頭部保護帽を開発できないかと考えたところから始まりました。
さまざまな緩衝材を用いた衝突安全試験を行った末、衝撃吸収力が高く、かつ通気性や弾力性に富んだ緩衝材を選定し、保護帽子に入れ込むことをJARIの発案を得て、デザインや制作を決めました」と特殊衣料の担当者。

見た目は普通の帽子の『abonet+JARI』だが、頭部周辺部分にポリエチレンビーズが縫い込まれている。
『abonet+JARI』キャップ フルタイプの頭頂部は、緩衝材の出し入れが可能になっていて、つばには反射材のトリミングが施してあるので、逆光にも耐えやすいようになっている。子どもから大人までが愛用できるデザインになっている。

『abonet+JARI』ハット フラワーは、頭部の全方位に緩衝材が入っていて、帽子の内側から出し入れ可能。日差しが特に気になる女性にはうれしいデザインになっていて、長めのつばの内側には、かわいらしい花柄が使用されている。おしゃれで、特殊な保護帽を被っているとは誰にも気づかれないすてきなハットである。

「キャップ」と「ハット」などデザインは6種類あり、アウトドアからフォーマルにも対応できる品ぞろいとなっている。

安全でスタイリッシュな帽子である『abonet+JARI』は、じつは事故防止に貢献している。スポーツや日々の活動の中で生じる事故対策に、保護帽も考慮してみるのはどうだろう。

2011年11月25日金曜日

ギターの音が鳴るバッグ

ジョークグッズも楽しめることが前提ですけど、使用感が良いとか言われると普通に需要があるのでは?・・・なんて思っちゃいます。もっとも興味としてはその商品を開発したぶっとんだアイデアを生み出す製作者の方ですが。

以前、コネタで「演奏できるTシャツ」という記事をお送りしたことがある。Tシャツにプリントされた“ギター”や“ドラム”を弾いたり叩いたりすると、実際にアンプから音が響き出すという、ミラクルなアイテムであった。もう、あそこまでいくと、服というか楽器というか……。

そして、今度はバッグ。11月1日から株式会社センチュリーより発売されているのは、『エレキギターバッグ』である。
こちらも、ご多分に漏れず弾ける。メッセンジャーバッグの表面に描かれたギターのフレット部分を押さえてストロークすると「ギュイ~ン!」って、まさに気分はロックスター。

実はこのシリーズに対しての、同社の入れ込みようがスゴいのだ。
「Tシャツの際は、ギター、ドラム、サウンドトラックと展開しておりましたが、バッグに関してはまだギターのみとなっております。ただ、前回が非常に好評でしたので、当社にとって外せない商品だと認識しています」(同社・担当者)
このバッグは、アメリカのメーカーが製作しているグッズ。もしもこの先、ギター以外の楽器でバッグが発表されていくようならば、日本国内でもアメリカとのタイムラグ無しで展開していくと、同社は固く心に決めているそうだ。

ところで前回のTシャツは、何がそんなにウケたのだろう?
「ギターを弾いたら音が鳴るだけでなく、コード進行できるという点が好評でした。ドラムの場合、叩くパートの位置によって鳴る音も違っていました」
この辺りのギミックの緻密さが、人気の秘密だった。特にハマった人の楽しみ方として報告されているのは、セッションである。Tシャツを数枚購入し、みんなが各々シャツを着こんでジャムったりなんかして。Tシャツで構成された、もはやバンドじゃないですか!

しかし、今度はシャツじゃない。そのセッションに、バッグで参加させてもらえませんか? 早速、『エレキギターバッグ』を取り寄せて、私も演奏してみました!
まず、肩にバッグの紐を引っかけた。

次にアンプに電池を入れて、スイッチを入れたら「グワ~ン!」。いきなり、響きやがった!!

思わず驚いてしまったが、これには理由がある。今回のバッグは、前回のTシャツと異なる点があるのだ。
「今回はバッグですので、ピックは不要です。その気になったら、好きな時に弾いてください。もし、雨が降ったら鞄の中にアンプをしまっておく。そんな形で、お楽しみいただきたいです」(担当者)
Tシャツでは必須だったピック、今回は無くても良い。ギターを指弾きなんて、ジェフ・ベックの心境ですよ!

また、気持ちがいいのはギター(バッグ)の位置だ。ショルダーの紐でぶら下がったギターの高さが、本物のギターと瓜二つというか。前回のTシャツの時は、コードを押さえる手の位置が、胸の高さまで来ていただけに。しかしこのバッグだと、お望みの低い位置でかき鳴らしちゃっていい。今度は、ジミー・ペイジの心境ですよ!
ちなみにこのバッグ、何も押さえずに弾く「E」(最低音)から、1オクターブ上の「E」までをカバーしていたりする。本格派だ。

そんな『エレキギターバッグ』は、同社の直販サイトである「白箱.com」で発売されている。価格は、5,980円(税込み)。

これで、いつでもどこでもギタリスト。ただ、スイッチをオンにしたまま満員電車に乗り込むのはタブーです。他の人と密着したが最後、バッグから「グワン、グワン」と鳴り続けてしまうから。

2011年11月24日木曜日

電動歯間ブラシ、その使い心地

水が絡む電動日用品ってどうにも管理が怖くて仕方ない。単に壊すことが多くて日持ちしないってだけですが。あの便利さを考慮すると欲しくはなるんですけどね。

虫歯より怖い歯槽膿漏(しそうのうろう)。昔、歯医者さんに「歯槽膿漏になると歯が全部なくなる恐れがあります」と注意され、歯間ブラシの使用を勧められたことを憶えている。それから時は流れ、今その現実に直面している。虫歯ではなく、歯槽膿漏で奥歯が2本抜けてしまった。
「これはマズイ」
やっぱり歯間ブラシが必要か。そこで、最近発売されたばかりの電動歯間ブラシを試してみることにした。

今回使用したのは、歯間専用電動ブラシ『デンタルペッカー』(山善)。電動歯ブラシはお馴染みだが、歯間ブラシの電動タイプは珍しい。キツツキが木を嘴でつつく動きのように、歯の間をブラシの毛先が突くように前後する。これによって効率よく掃除するというわけだ。歯間の掃除は通常のブラッシングより結構手間がかかる。確かに電動化すれば楽に磨けそう。また、縦方向への高速タッピング運動は歯茎へのマッサージ効果もあるという。

このような縦方向の高速タッピングを実現するために、とくに技術的に難しかった点は何か。山善さんに聞いた。
「高速に動くポール(軸)の防水です。防水性を高める=密閉性を高める=動きに制約が出てくる、このバランスが難しいのです」
洗面所で使うものは防水性がしっかりしていないと使い物にならない。電化製品づくりはある意味「水との戦い」なのだ。

では、早速試してみた。
直径約1.5ミリに束ねられた超極細毛のブラシが、毎分約8000往復。実際どんな磨き心地か。恐る恐る歯の間に入れてみると、ちょっと痛いのではと思ったが、ほどんど痛みは感じず、むしろちょっとくすぐったいような感覚。水しぶきを上げながら、テキパキと磨いてくれた。これなら、初めて使う人でも抵抗は少ないだろう。

この柔らかいナイロンブラシ、1本の直径はどのくらいか。
「0.12ミリです。一般的な歯ブラシは0.15ミリが主流です」
なるほど、かなり細い。これが柔らかで優しい使い心地のポイントのひとつか。

使い手にもよると思うが、だいたい磨き終わる時間はどのくらい?
「約3分から5分です」
携帯しやすいようにブラシ部のキャップが付属している。また、全体のサイズはボールペンよりひとまわり大きい程度。出先に持っていって短い時間にブラッシングするのにいいかも。

「いつまでも自分の歯で食べたい」と思っている中高年の方々。がんばって歯の間を磨きましょう。

2011年11月23日水曜日

無骨なジッパーを、そのままブレスレットに……

廃材利用って便利ですけど人によっては貧乏臭いって印象かも知れません。特にアクセサリー作りとかそんなに欲しがられませんよね。でもデザインセンスが優れてるものだとどうなるのでしょう?

男性にも色々なタイプの方がいるが、私は基本的に“アクセサリー着ける派”だ。「ジャラジャラさせるの、好きじゃない!」という人もいるみたいだが、あくまでワンポイントとしてブレスレットやネックレスを身に着けると、グッと点数が上がるってことを知らないな?

そして、このブレスレットは極上のワンポイント! オンラインショップの「密買東京」で10月18日より発売されている『ジッパーブレスレット』を、ご覧いただきたい。もう、男の子が泣いて喜びそうなデザインになっているではないか。
というか、これは本物のジッパーである。それをそのまま用いて、アクセサリーにしてしまった。

そこで、この『ジッパーブレスレット』が発表された経緯について、同店に伺ってみた。
「このブレスレットは、カバン作家・カガリユウスケさんによる作品です。カガリさんは外壁と同じ塗料を塗り、壁面と同じように経年変化していくカバンを数々製作している作家さんです」(担当者)
テーマは“経年変化”。そんな彼の最新のコレクション『100年の壁』が、このブレスレットと深い関係にあるのだ。

とにかく、このバッグをご覧いただきたい。年季が入っているでしょう? ……イヤ、入ってない。本当は新品なんだけど、100年の時を経たようなデザインにあえてしてみせている。
そして、バッグに用いられたジッパーも普通じゃない。このバッグに使われているのは、通称“クラシックジッパー”。現在のジッパーの原型となったモデルの復刻版として、1905年当時の製法や形状が忠実に再現されたものである。開け閉めに関しては、現代のジッパーほどスムーズにはいかないが、それもまた“味”ってことで。
「この“クラシックジッパー”を発見し、造形の美しさに魅かれたカガリさんが『作品に利用したい!』と思ったそうです。ただ、バッグの一部としての活用だけではもったいないので、アクセサリーにしてジッパーを前面に押し出したのが『ジッパーブレスレット』でした」(担当者)
押し出したどころか、そのものズバリの形じゃないですか!

そして、このブレスレットも“経年変化”していくという。

まず、見た目に関して変化が起こる。
「時間の経過に伴いそれなりに変色していきますし、大事に使っていても『使い込んでいるな』と思わせるような味わいが出てきます」(担当者)
まさに、これぞ“ヴィンテージ感”というか。

また、その他の面も無骨だ。
「このジッパーは、全くコーティングされていないんですね。通常のジッパーだと、触ると手が金属臭くなるなんて有り得ないですが、このブレスレットを扱っているとコインを持った後のような臭いがいます」(担当者)
まさに、“古き良き”というか。

そんな『ジッパーブレスレット』は、同店にて17,850円(税込み)で販売されている。種類は、ゴールドとシルバーの2つ。完全受注生産で、オーダーから3週間程度で完成に至る。

「男性向けとしてわかりやすいデザインかもしれませんが、女性が着けるのもオススメです」(担当者)
事実、この担当者さんは女性なのだが、『ジッパーブレスレット』をご自身で注文したそうだ。

アクセサリーを着けていると、妙にゴチャゴチャし過ぎて下品になってしまうことがある。傍から見て、非常にトゥー・マッチな人を見ると、残念なのだ。
でもこのブレスレットだと、そういうベクトルにはいかない気がする。それどころか、『ジッパーブレスレット』を主役に据えてコーディネートするのがお洒落ではないだろうか。
一つ持ってたら、実は重宝するかもしれない。

2011年11月22日火曜日

カカオはお金だった!? チョコレートの秘密

過去のものの物価って意外な価値があって勉強させられますが、カカオに対する面白い知識を発見。昔胡椒を巡って争いが起きたって話は知ってますが他にも印象ががらりと変わるものがあるとは・・・。

世界的に有名なベルギー・チョコレート。ゴディバやノイハウスといった定番からピエール・マルコリーニ等、一度は耳にしたことのあるブランドは多い。チョコレートの原料となるカカオは、寒冷なヨーロッパではなく温暖な中南米が原産だが、なぜこれほどヨーロッパ人はチョコレートが好きなのか? 本場ベルギーでチョコレートの由来について聞いてきた。
「もともと、カカオは中南米に興ったマヤ文化圏で栽培されていました。カカオは貨幣の代わりに用いられていたこともあります。また、ショコラトルと呼ばれるカカオから作られた苦い飲料も、当時の人々の間で飲まれていました。ちなみに、15世紀から16世紀にメキシコ中部に栄えた王国アステカの神話では、羽毛を持つ蛇の姿をした神ケツァルコアトルが、カカオの木を運んできたと伝えています」(カカオ・チョコレート博物館)

初めてヨーロッパ人がカカオの存在を知るのは、1502年のコロンブス4度目のアメリカ航海の時だ。そして、後にスペイン人がカカオをヨーロッパへ広めることになるのだが、最初カカオの味は彼らの口に合わず、なぜ現地の人々がカカオに熱中するのか理解できなかったそうだ。しかし、一度その味がアメリカ大陸へ渡ったスペイン人たちに受け入れられると、カカオは大きな成功をおさめることになった。
「スペイン人、エルナン・コルテスが1528年にメキシコから本国へチョコレート飲料を持ち帰ると、瞬く間に人気となりました。その成功に主要な役割を果たしたのは修道士です。修道院は適期的に船荷とともに新しい製品を受け取り、チョコレートを広めたのです。その後、スペイン国王フェリペ3世の娘、アンヌ・ドートリッシュが1615年にフランス国王ルイ13世へ輿入れする際に、チョコレートはフランスへ持ち込まれます。そして1635年にベルギーの町ゲントに伝わりました」(同)

ちなみにベルギー人の場合、一人平均年間で8.4kg(!)のチョコレートを食べるそうだ。

そんなベルギーのチョコレートの特徴とは何だろうか? 
「ベルギーで考案されたスタイルに、プラリーヌというものがあります。これは1912年にベルギー人のジャン・ノイハウスが考えたもので、ナッツ等に飴をからませペースト状にしたものをチョコレートで包んだお菓子です」(同)

今やよく知られている形状の一つは、実はベルギーが発祥だったのだ。これから冬に向けてますます時期となるチョコレート。小さな一粒には様々な歴史が含まれているのですね。

2011年11月21日月曜日

電気不要! 今ある“熱”を再利用する暖房シート

再利用など地球に優しいリサイクル思想が働いてる今日、でも普通再利用っていったらモノですよね。これが空気循環ではありませんが、温度に関するものなど驚きです。

そろそろ、寒くなってきた。ちょっと、暖房を付けたくなることも……。だが、今年からは考え方を変えていくべきだろう。そんなに、無闇に電気を使わない。例えば、室内でアウターを羽織ってみたり。湯たんぽを利用するのも、いいかもしれない。

そして、コレがちょっといいのだ。潜熱蓄熱材を使用した製品開発に取り組んでいる「ネギシ」が、11月中旬より発売する『エネCATCH』。これは、様々な熱を吸収し、それを蓄える暖房アイテムである。
実はこの商品、窓辺の日差しやお風呂の残り湯から、余った熱を吸熱できるという。そして、その熱を体温に近い温度にして長時間キープしてくれるのだ。これを我々はひざ掛けにしたり、布団に敷いたりすればいい。要するに、既存の“熱”を再利用する蓄熱シートとお考えいただきたい。

このような暖房アイテムを開発したきっかけについて、同社に伺ってみた。
「以前、当社で病院に訪問した時でした。その際は、私どもの蓄電式あんかを病院に活用してもらおうと考えていたのですが、ちょうど計画停電が実施されていた時期でもあったんです。電気使用に対して、不安がある時期でした」(同社・根岸社長)
そしてその病院では、お風呂の残り湯を詰めた湯たんぽを使用していたそうだ。

これが、「ネギシ」の一つの契機となった。かねてより「お風呂のお湯のために、せっかく作りだした“熱”を再利用しないのはもったい無い」と考えていた同社が、新たな暖房アイテムの開発に着手するようになった。電気を使わず、お年寄りにも使い勝手の良い、暖房アイテムの開発である。

では、このシートの使い方について。まず、窓際に置いたり、お風呂場の残り湯に浸したりする。こうすると、太陽やお湯の熱などを吸収し『エネCATCH』自体が温まる。結果、一定温度に達するとシートの表示が青からピンクに変色(冬場の太陽熱だと2~3時間、約40度のお湯だと30~40分でピンク色に変色)。

その後、布団の足元や腰、背中、肩部などに当てると、もう快適だ。何しろ、38度くらいのちょうど良い温度を、5時間程度は保ち続けるというのだから。

……とザックリと説明してしまったが、完成に至るまでは苦労も多かった。問題となったのは、“堅さ”である。このアイテムには、床暖房に使用する材料が用いられているのだが、それをそのまま使うと問題が発生する。
「酢酸ナトリウムという、冷えると堅く結晶になる物質を使っております。床下に使用する際は堅いままでもいいのですが、人肌に触れる商品と考えると快適ではないですよね」(根岸社長)
堅い状態でお年寄りが利用すると、あまり脂肪のない皮膚と接触して心地よくない。そこで同社は緩衝剤などを加え、温めても覚めても柔らかい状態をキープできるように改良してみせた。実用的な形としての商品化に成功したのだ。

では、このアイテムはどのような場所で活躍するのだろう?
「まず、医療関係の現場においてご使用していただきたいです。あと、やはり被災地ですよね。そして、これからは一般の方にもご活用いただけるアイテムだと思っております」(根岸社長)
今後、我々の生活の中で“節電”というキーワードは欠かせないものとなってくる。だからこそ、電気を使わずに快適になれる暖房アイテムとして重宝するのではないだろうか。これからの新しい生活様式の中で、スタンダードな物になっていければ……。そのように、同社は考えているのだ。

そんなこの『エネCATCH』は、同社のホームページにて11月中旬より販売されている。価格は7,245円(税込み)。

それにしても、深い意義を持った開発ではないか。だけど、もっと気軽に考えてみてもいいかもしれない。「新しい、電気不要の暖房アイテムが出たんだ!」と、そのくらいの考えで日常使いしても便利だと思うし、それが結果的に意義ある行いに繋がる。
そんな、新しい暖房アイテムです。

2011年11月20日日曜日

リーゼントでヤンキーのダルマ

髪型は人間の印象を決める重要の要素ですが、元々髪が無い人がもさもさになるともう別人にしか見えません。しかしそれが人だけとは限らないのが味噌ですね。

年も年末が近づいてきた。実は私の実家は自営なので、お正月は毎年ダルマを買うのが常。だから幼少の頃より、ダルマは“縁起のいいもの”として非常に馴染みがあった。
しかし、これには断じて馴染みがない。オンラインショップの「密買東京」から販売されているダルマはリーゼントなのだ。完全にヤンキー。商品名は、臆面もなく『ぐれダルマ』である。

それにしても、何でこんな髪型のダルマを作っているのか?
「『ぐれダルマ』を制作したのは、アートユニットの『現代美術二等兵』さんなんですが、ふとしたアイデアで作品を生み出している方々なので、思い付きでやっているのかもしれません」(同店・担当者)
きっかけなど、無い。

ただ、このダルマの作者・現代美術二等兵のホームページ内には、このような説明が付けられていた。なるほど、こういうキャラだと考えたらいいわけだな……。
「ダルマというのは悟りを開くために、じっと忍耐強く修行を続けているというシチュエーションであるのですが、このダルマは、あまりに退屈な修行に嫌気がさして不良化した、気の短いダルマです。まだまだ若造なのでヘアスタイルはとさかヘアーです。修行はしてるが『やんのか、コラァ!』 と、凄んでみせるやんちゃオブジェです」

そんな凄みを効かせているダルマを買うのは、どんな人達なのだろう。ウチの親みたいに、商売繁盛を願う会社や商店などか?
「作品としてもユーモアとしてもツボにはまった、個人の方がオーダーしていくことが多いです。ただ、仕事の願掛けとして購入された方もいらっしゃいました」(担当者)
実はこの不良ダルマ、同店で2007年より発売されているのだが、毎年のお正月シーズンにコンスタントに売れるという性質の作品ではない。キモは、このとさかが気に入るかどうか。理解者が買っていく。

そして、一つだけ断りを入れておきたい。知ってもらいたいのだ。このダルマ、素行は悪いが物は良い。
「元々は一つの作品として発表されていた物を、私どもが『当店で販売できないか』と打診し、紹介が実現したダルマです」(担当者)
だからこそ、元となる型は存在しない。

注文が来たら1個ずつ作りこんでいき、3ヵ月をかけて丁寧に作り上げる。塗りなども含めて、全部だ。

そんな『ぐれダルマ』の価格は157,500円(税込み)。同店のホームページにて販売されている。

クドクド書いてきたが、何よりこの1枚の写真にかなう説得力はないと思う。グレちゃうほどの心の荒ぶりがあるのだろう。ピンときた方は、買わずとも彼(ダルマ)の心の内だけは理解してあげてください。

2011年11月19日土曜日

“時を測る”メジャー型のカレンダー

モノトーンなおしゃれな一品、メジャーでもセンスとデザイン次第では思い込みを払拭できることが判明!これは是非とも使ってみたいところですが、すぐに空きそうな自分には・・・。

今年も知らぬ間に終盤戦。どんなにもがいてみても、あと1カ月もすれば2011年も終わってしまう。誰もが焦る季節だがここはひとつ、明るい未来を夢見て来年のカレンダーでも選んでみよう。
どう見てもメジャーにしか見えない左の写真、その名を『M75 メジャーカレンダー』と言う。「時を測る」と言うコンセプトで、メジャーとカレンダーが一体となった、新感覚のプロダクトだ。

1日=1センチ。メジャー部分を引っ張り出してみると、1センチ間隔の目盛りに「1 MON」「2 TUE」と、日付と曜日が記載されている。5センチごとに、「今年が始まって何日か」がわかる数字も記されており、その名の通り、引き出されているメジャーの長さで「時を測る」ことができる。6月の終わりで最大長に達し、Uターン。7月以降の日付は裏面へ記載されており、巻き取っていくと、今度は「今年があと何日あるか」を知らせる数字のカウントダウンが始まる。

使い方は、人それぞれ。友達との会話で取り出せば、まあ、盛り上がること必至。たとえ一人でも、年の初めには、「この辺りであれをして、あの辺りであそこに行って……」と、これから始まる毎日に、あれこれ夢を膨らませることができるし、まさに今のような年末には、「今年もあとこれだけしかない!」と、あえて自分に喝を入れることもできるだろう。

また、意外に使えそうなのは、仕事や作業におけるスケジュール調整の場面。「今がここで、サービス・インがここなので、このあたりであそこまで終わらせて、次は……」と、全体像を把握しながら調整できるので、無理なラインを引いてしまう、なんてありがちな失敗は防ぐことができそうだ。ただ、ビジネスの場面では「ふざけてるのか!」なんて怒り出す人がいないとも限らないので、相手の顔を見ながら取り出すことをオススメさせていただく。

『M75 メジャーカレンダー』は、白、黒、赤、青、紫の5色展開で、ひとつ2,100円(税込)。

東京・銀座にある文房具店「FRED&PERRY」の店頭・およびオンラインショップにて取り扱いがある他、名古屋市内の店舗などでも販売中だ。詳しくは、「三宅博之デザインオフィス」のホームページにてご確認の上、お問い合わせを。

新しさを感じる一方で、どこか「日めくりカレンダー」にも通じる懐かしさも漂う『M75 メジャーカレンダー』。デジタルでスケジュール管理することも増えてきた今、あえてアナログ的に、時の“質感”のようなものを味わってみるのもいいかもしれない。

2011年11月18日金曜日

かわいい? 怖い? 見えない精霊をアイコン化した「PLANET DOLL」

ぱっと見蓑虫に見えたこの精霊さん。印象って中々払拭できないもので一度根付いたらもう一生ものって感じですよね。まあさわり心地は良さそうだから欲しくはあります。単に寒いだけかもしれませんが。

頭隠して尻隠さず、とはこのことか。ふと訪れた南青山の展示会で圧倒的な存在感を放っていた、毛むくじゃらな人形「PLANET DOLL」。気になって担当者の方に話を聞いてみると、どうやら「精霊」をモチーフにアイコン化したものらしい。太古の昔から万物に宿ると言われ、世界中の人種や民族、宗教観で普遍的に存在している精霊は、私たち人間を守ってくれる神のような存在とも言われている。しかし、通常は人の目に見えないもの。それを形にするなんて、どんな意図があったのか? そもそも、なぜこの容貌に?

「PLANET DOLL」を手掛けたのは、グラフィック・デザイナー集団「TGB design.」。彼らが独自に解釈した精霊の姿、そしてこの人形が生まれた背景について、メンバーの石浦マサルさんにお話を聞いてみた。

石浦さんによると、「TGB design.」は、3年ほど前、ホピ族(アメリカ・インディアン部族のひとつ)にとっての精霊である「カチーナ人形」の東京版として「モダンカチーナ」をプロトタイプとして発表していたと言う。今回の「PLANET DOLL」は、それをベースに、販売することを念頭に改良を加え、試行錯誤の末に完成したものらしい。

「モダンカチーナは、“精霊が東京に来たらどうなるか?”をテーマに考えたものでした。“欲にまみれるのか? まみれないのか?”みたいにいろいろと想像しながら(笑)。カチーナ人形には毛をはじめとして様々な飾りが付いているので、僕たちもラインストーンを付けたり、いろいろと試みましたが、結局、『毛だらけ』の美しさ、つまり自然の美しさに勝てなくて、現在の形になりました」

自然からいただいた「毛」そのものの姿一番美しい、と感じた彼らの感覚が形となった「PLANET DOLL」。この人形が教えてくれるのは、「想像する」ということの楽しさだ。精霊という存在は、現代の私たちを遥かに超えた、当時の人々の豊かな想像力を感じさせてくれる。

「毛だらけ」の姿はデザイナーの彼らの想像によるものだが、「私ならこういう形だと思う」と、自分なりの精霊の姿を空想してみるのも面白い。そんなことを考えながらこの人形と相対してみると、忙しい毎日の中で、ちょっとホッとする時間を持つこともできるかもしれない。

しかし、「PLANET DOLL」の魅力はこれだけではない。少し長くなってしまうが、この人形を語る上で欠かせない、その背景にあるストーリーも、ぜひお伝えしたいと思う。

まずは、使われている素材について。どんな装飾も「勝てなかった」という美しさを持つこの毛皮は、通常はゴミとなってしまうような「裁ち屑」を毛皮屋さんから仕入れたものだと言う。さらに台座や本体には、一部に間伐材を使用しており、売上の一部は森林保護団体の森作りに還元される仕組みになっている。

制作は一つひとつ手彫りで、装飾も手作業によるものだ。グラフィック・デザイナーの彼らにとって、「PLANET DOLL」の制作は、ある意味「専門外」の領域。プロではない彼らによる手作りなので、よく見ると木彫りも均等ではなく、色の塗り方も荒々しく、ムラがあることが分かる。

素材、そして慣れない手作業へのこだわり。そこには、彼らが伝えたい、こんなメッセージが込められている。

「僕らは普段、完璧なものをアウトプットしていく仕事をしていますが、敢えてそうでないものを世の中に出すことによって、“自分も創りたいな”と意欲の沸いてくるような、人々につながりが生まれるような、そんな仕事をしたかったんです」

3年前に「モダンカチーナ」を発表して以来、多くの人と出会ったという石浦さん。「命からいただいた毛が再生されてうれしい」と言ってくれた毛皮屋さん、「持って行っていいよ」と、ログハウスの端材を提供してくれた建築家さん。これも精霊の力なのだろうか。「完璧じゃない」ものを創ることによって次々とつながりが生まれ、「PLANET DOLL」は完成した。

これらのストーリーが積み重なってできた「PLANET DOLL」は、手作りの木箱入りで、年内には販売開始予定。ひとつ33,000円(税別)というお値段は、ちょっと高く感じるかもしれないが、一度実物を見ると、その存在感に圧倒されてしまうこと必至。高さ20cm〜22cmと、おそらく写真のイメージよりも大きく(私自身、もっと小さいと思っていました)、一つひとつ装飾や使われている木も違うので、ぜひ実物を見て、たった“ひとり”のお気入りの精霊に出会ってほしいと思う。現在販売方法を検討中だが、決まり次第「TGB design.」のホームページで告知されるとのことなので、情報を楽しみに待つことにしよう。

最後に、今後制作される「PLANET DOLL」について、さらに楽しみな情報をひとつ。装飾など、制作に関わる一部の作業について、全国の授産施設に通う知的障害の方々と共同制作の体制を取っていくとのことだ。

「精霊を作るなら、僕よりも心が広く、心がきれいな人がいいな、と思っていたんです。たまたま制作の過程で授産施設に通う方々と出会ったのですが、その想像力と、木工などの作業技術の高さに驚きました。さっそく大田区の授産施設に行って相談したら、制作に関しては「全然大丈夫」と言ってくださって。僕らだけでは現在のデザインでもう限界(笑)なのですが、彼らと一緒になら、さらに形を変えて行けると思います」

新しいパートナーを得た「PLANET DOLL」が、私たちにさらなる驚きとワクワクを与えてくれることは間違いなさそうだ。

2011年11月15日火曜日

裏側まで覗けちゃう!? 有名温泉地のツアーに潜入!!

まだ冬より秋側ですが、油断してるとすぐ風邪を引いてしまう今日この頃。ツアーと言ってもどこも温泉なんてあたりまえでしょうか?

温泉の街を散歩するワークショップがあると聞いて、先日、神奈川県の箱根・宮ノ下に行ってきた。このワークショップは、今年から始まった地域振興イベント「宮ノ下さんぽ」(開催期間は10月の一か月間)の一環で、地元商店会の方々がガイドとなって街を案内してくれるという。
この日の参加者は約10人ほど。ツアーの前半は足湯が楽しめるカフェや、歴史ある富士屋ホテルなど、温泉地特有のさまざまなスポットをめぐり、その先々でガイドのおじさんたちが箱根の歴史を語ってくれた。

さて、ここまではいわゆる観光案内という感じであるが、このツアー、後半からガラッと雰囲気が変わるのだ!
富士屋ホテルの裏手にある住宅地に移動した私たちはおじさんガイドに導かれるまま、静かな路地を歩き始めた。地元に住んでいなければ、迷ってしまいそうな住宅街。飾り気のない路地を歩いていると、観光というよりは、なんだか自分が小学校の頃に見ていたテレビ番組『たんけんぼくのまち』の世界にいるような気分になってきた。
ガイドさんによると、この辺りは昔、芸者さんの置屋街だったらしく、「楽天地」と呼ばれたところらしい。今は静かな住宅地だが、昔は三味線を練習する音などがこの一帯に響いていたそうだ。

そんな話をしていると、ガイドさんが突然その場にしゃがみこんだ。彼は道の端にあるパイプのようなものを指差すと、おもむろに語りはじめた。
「このパイプの中には温泉が流れていて暖かいんですよ。昔自分が小学生だった頃、冬の寒い帰り道はこれに手を触れて……」
箱根の山の冬はとても冷える。そんな中、温泉地の子どもたちはパイプを触ることで暖を取っていたらしい。少年時代の思い出が去来したのか、遠い目をするガイドさん。目の前のおじさんの少年姿を想像する私。

ほどなくして、ツアーの一行は資材置き場のような、だだっ広い空き地に出た。ここは先ほど案内してもらった富士屋ホテルの裏の敷地らしく、従業員通路も見える。

ツアーには先ほどの足湯カフェのオーナー安藤さんも同行していたが、今度は彼が目をキラキラさせながら語った。
「ここは私の通学路だったので、学校帰りに従業員通路からホテルの中に侵入して、見つかったら急いで逃げたりしてました」
殺風景なこの場所はお世辞にも観光スポットとはいえないが、見晴らしがとてもよく、ここから宮ノ下の街を一望できる。子供の頃の秘密基地にいる気持ちになって、安藤さんの少年時代を想像するコネタ取材班。
こうして、目の前のおじさんたちが次々と目を輝かせてウットリしてしまう!! という予想外の展開に驚きながら、住宅街を抜けた一行は15時頃にゴール地点である駐車場に到着した。

散歩ワークショップが無事終了し、笑顔で手を振って私たちを見送るガイドの皆さん。観光ツアーでは味わえないお得感のあるこのワークショップは好評だったようで、全3回すべてが定員いっぱいだったらしい。
もしかしたらガイドのおじさんたちが一番楽しんでいたような......そんな気もしないでもないが、地元を愛する人たちと歩きながら、気付けば自分も宮ノ下がとても好きになっていた、そんな素敵な一日でありました。

2011年11月14日月曜日

鉛筆削り日本一を決める基準は?

シャープペンが誕生してから鉛筆を使うことすら減ってきた現代人。今でも筆圧が高すぎる人なんて折れないように使ってるなんて人もまだ見る。メモ程度なら使ってもパソコンの普及で更に減ってきたかも・・・。

先日、「全国えんぴつけずり大会」が京都で開催された。そういえば、鉛筆削りって、最近では削り器でやるものなので、カッターやナイフを使って削ることはほとんどないです。
この大会の存在を知って、「鉛筆削りで何を競うの?」「なんで鉛筆削りなの?」と思ったので主催者に聞いてみた。

答えてくれたのは、主催のNPO法人「京都匠塾」の担当者さん。もともと、本大会を開催する「京都匠塾」は、伝統工芸を後世に伝えていくために、若手職人が集まった技術集団で、鉛筆削りという作業で小刀を使って、ものづくりの原点に触れてもらえればと開催を決めたそう。
担当者さんいわく、「鉛筆の芯と木の部分が違う感触なのを体感してほしい。これを機会にものづくり産業の活性化につなげたい」とのこと。ちなみに、鉛筆によって、木の固さや木の種類、芯の固さなどが違うため、今回の「えんぴつ削り大会」では、三菱鉛筆の9800タイプのHBを公式鉛筆として使用。3分の制限時間以内に1本の鉛筆を削って入賞をみんなが狙った。

今回の「えんぴつ削り大会」の入賞の基準について聞いてみたところ、「まず、もともとの長さより短くなっていたら減点。より正確な円錐形に削ったあとなっているか、表面がキレイに削れているか」で、評価を行ったとか。
今回は、小学生からお年よりまで99人が参加しましたが、子どもの部で優勝したのは、小学6年の女の子。大人になると、鉛筆を使うことが極端になくなりますが、さすが毎日鉛筆を使っている小学生だけありますね! 主催者さんの思惑通り、これを機にクリエイティブな、ものづくりに参加した子どもたちが目覚めるといいですよね~。

2011年11月13日日曜日

名古屋名物の台湾ラーメンとは

名古屋人にとって麺といえば味噌煮込みうどん、きしめん、スガキヤラーメン、そして台湾ラーメンの4品。名古屋人はこれら食文化の存在を疑うことなく育つのだが、他県の人によれば、なぜ台湾ラーメンが名古屋名物なのか腑に落ちないらしい。中国人の友人が日本を訪れて名古屋名物を聞いてきた際も、「台湾ラーメンだね」と答えたら同じツッコミが返ってきた。

確かに他県のご当地ラーメンの場合、「とんこつ」や「札幌」等、味の特徴や自らの地名を冠しているものはあるが、よその地名を地元の味として銘柄化している例は珍しい。なぜ名古屋なのに“台湾”なのか? また、台湾ラーメンとはどのような味なのか? 名古屋出身のご当地ライターが、台湾ラーメンを再確認してみた。

全国各地のラーメンとか見てるとたまには旅行に行きたいなんて思う。想像以上に美味しい食材とかその地方の調理法など思わぬ名店がぞろりとあるだろう。

訪れた店は、名古屋市千種区にある「味仙」という台湾料理屋。そもそも台湾ラーメンとは、この味仙が台湾の担仔(タンツー)麺を元に考案したものなのだ。本来はまかない用のメニューで、台湾人が作ったから台湾ラーメンというシンプルなネーミングになったらしい。ラーメンの内容はというと、唐辛子が多く使われた激辛の鶏ガラスープをベースに、麺の上には炒めたひき肉とニラが乗っている。どんぶりの大きさは通常のラーメンより小ぶり。元になった担仔麺はこのような激辛ではないため、味は本来のものと異なっているが、容器の大きさは踏襲しているようだ。ちなみに、少し量が足りない場合は「台湾ちまき」を一緒に注文してもいい。また唐辛子が苦手の人には、辛さを抑えた「台湾ラーメンアメリカン」というメニューもある。

名古屋を訪れると、味仙に限らずいたるところで「台湾ラーメン」の看板を目にすることができる。味仙によると、台湾ラーメンが広まったキッカケは一時期流行った激辛ブームだそうだ。その時に激辛の台湾ラーメンが注目され、市内多くのラーメン屋が名前もそのままに、こぞって同じ形態のものを提供するようになったという。

また県内のスーパーでは、家庭向け袋麺の台湾ラーメンも手に入る。

現在、本家である味仙は名古屋市千種区今池にある本店を筆頭に、愛知県下に8店舗。中部国際空港内にも店を構えているので、来日した本場台湾人と名古屋の本場台湾ラーメンの遭遇が日々おこなわれている可能性(!)もある。興味ある方はぜひのぞいてみては。

2011年11月12日土曜日

機内食メニュー考案にかかる時間は?

移動中に出る機内食。駅とかで出るお弁当とかならイイけど、空の旅行とかだとある程度保存が出来ないといけないから作れるものって限られるよね。

空の旅の快適さを左右する要素はいろいろあるが、機内食もそのひとつ。最近は、ミシュランシェフが考案する料理やその国のご当地メニューなどバラエティ豊かで、各航空会社のこだわりがよくわかる。

ただ、以前コネタでも紹介したように、機内食づくりには何かと苦労も多い。機内では使える食材や量、食器の形状などに制限があるうえ、地上で作った料理を機内で温め直すという特殊な工程もある。地上で考案したメニューを機内でも忠実に再現するためには考慮すべきことが山ほどあるのだ。

ルフトハンザ ドイツ航空(以下、ルフトハンザ)では、世界の著名シェフがビジネス・ファーストクラスの機内食を監修するプログラム「スターシェフ」が好評だ。ドイツ発便では2ヶ月毎にシェフが変わり、日本発便でも提携ホテルのシェフのよって2ヶ月毎にメニューが変更されている。

こう頻繁に変わると、機内食メニューって案外簡単に決まるのかと思う人もいるかもしれないが、なんと同社では、シェフを決めるところから機内食メニューを最終決定するまでに1年以上もかけているというから驚きだ。

ちょうど今年の11月1日より、日本発便の機内食も一新され、成田・中部発便では「ザ・ペニンシュラ東京」と提携をスタート。同ホテルのアダム・マティス総料理長が考案する洋食と児島輝幸料理長による和食が提供されている。児島さんによれば、最初にルフトハンザから話がきたのが、昨年10月だったというから、まさに一年がかりの話だ。

今回、新たに機内食を開発するにあたり、両シェフは150種類ものメニューを考案。その後、実際に機内食をつくる空港のケータリング会社(機内食工場)にて3度の試食会を実施。試作を繰り返した結果、現在提供しているメニューが完成したという。和食にかんしては、
「旬の素材の味わいや色合いを楽しんでもらいたいと思い、さまざまな日本の食材を使っています」
と児島さん。

今後も2カ月ごとにメニューは変更されるが、メニューづくりにはケータリング会社をはじめ、多くのパートナーとの協力が必要なので、最終決定までに平均6~8ヶ月はかかるそう。

シェフは通常の業務と兼任でスターシェフを担当するため、そのときによってかける時間は多少変わるし、メニューも何ヶ月分かはまとめて考案しているというが、それでもかなりの時間を使っているのは確か。

ドイツ発便では2ヶ月毎にシェフも変わるため、企画検討は毎回だいたい1年ほど前から始めているとのこと。また、関西発便でも11月1日より新たに「スイスホテル南海大阪」との提携を開始し、新メニューを提供している。

機内食の開発期間は航空会社によって違うものの、地上のレストランなら、その日仕入れた素材によってメニューを決める、なんて店もあることを考えると、基本的にどこも長い時間をかけて決定しているもの。美味しさの裏に隠れた多くの人の苦労やこだわりを知れば、いつもの機内食がより味わい深く感じられるかもしれません。

2011年11月11日金曜日

ガソリンスタンドでのエンジン停止は常識?

ガソリンスタンドのマナーとして事故防止の為にエンジンを停止してるって聞いたときに驚いた。いや、常識とは思えるけど・・・てっきり入れ逃げ防止のためだと思ってたよ。

ガソリンスタンドでの給油時、エンジンを止めていますか? 

「当たり前だよ」「危ないでしょう?」そんな声が聞こえてきそうな質問だが、今年の夏、意外な体験をした。とある地方のスタンドで給油を頼み、エンジンを止めると、
「暑いでしょう。付けておいてもいいですよ」
といわれたのだ。

エンジンを止めれば、すぐに車内の温度があがり、汗が噴き出してくる真夏のこと。しかも、1歳の子連れ。ありがたい話ではあったが、本当に大丈夫なのか疑問に思った。ところが後日、別のガソリンスタンドでも同じことをいわれ、またビックリ。もちろん、こちらから訊ねたわけではない。

もしかして、ルールが変わったのだろうか? 総務省消防庁危険物保安室の担当者に聞いてみると、
「結論からいうと、そのガソリンスタンドの法令違反ですね」

実はというか、やはりというか、給油時のエンジン停止については、消防法などに基づく「危険物の規制に関する政令」の第27条、第6項にちゃんと定められていた。同項には、ガソリンスタンドなどの給油取扱所における取扱いの基準として、「自動車等に給油するときは、自動車等の原動機を停止させること」とある。原動機とはエンジンのことだ。

理由はガソリンの可燃性蒸気に引火するおそれがあるから。店員の申し出は親切心だったのだろうが、やはりルール違反なうえに危険な行為であったのだ。

ところで、セルフのガソリンスタンドでは、給油時の注意として、エンジン停止や火気厳禁のほかに、携帯電話の使用禁止を掲げているところもある。携帯電話までどうして? と思う人もいるかもしれないが、携帯電話も電子機器である以上、引火の可能性を完全に否定することが難しいから。ちなみに、ガソリンスタンドの電気機器には防爆構造のものが多用されている。

ただ、タバコや携帯電話については、法令に具体的な名称が出てくるわけではない。セルフのガソリンスタンドの取り扱い基準については、危険物の規制に関する規則(第40条の3の10)において、「非常時その他安全上支障があると認められる場合には、(中略)制御装置によりホース機器への危険物の供給を一斉に停止し、(中略)危険物の取扱いが行えない状態にすること」等と定められており、タバコや携帯電話の使用は、この“安全上支障があると認められる場合”にあたる。

これから寒くなる冬もエンジンを止めるのが少々辛い季節だが、安全には変えられない。安全運転とともに、安全な給油も心掛けたいものだ。

2011年11月10日木曜日

意外な日本を発見!? 細かすぎる日本旅行ガイドブック

当たり前の常識でも国境を越えると途端にひっくり返される海外旅行。でも外国から来た人たちってどの程度の知識を持ってくるのかな?ニュースとかだとマナーの悪い人が良く放映されてるけど・・・。

私たち日本人が海外に行くときには、「生水を飲まないように」とか「トイレはホテルや駅以外あまりない」「トイレに紙を流してはいけない」「お皿は手に持たずに食べろ」「ぼったくりに注意」「ひったくりに注意」といったことをよく言われる。

では、逆に、外国から日本に来る人たちは、どんな注意をされるものなのだろうか。
チップの習慣がないことや、玄関で靴を脱ぐこと、箸を使って食べることなど、違いは種々あるけれど……。

ベトナムで日本語を学んだベトナム人女性に聞くと、
「日本に行くときは、失礼ないように、マナーの違いに気をつけろと言われます。たとえば、うどん食べるとき。ズルズル音させろとか」と言っていた。
だが、一般的に、外国の人からときどき聞くのは、以下のようなコメントだ。
「日本の電車はいくつかの会社があるから、切符を一度に買えなくて難しい」

そんな日本に行く際の注意として、興味深い記述が多数ある本を台湾で見つけた。2006年に刊行された『長空自遊系列001 東京食玩買終極天書』というものだ。
そこでは、たとえば、電車の注意事項として、以下のような内容がある(だいたいの日本語訳です)。
「同じプラットホームから同じところに行くとは限らないから、方向に気をつけよう」
「『各停』『快速』『急行』『特急』『特快』などがあり、気をつけないと通過してしまう」
「朝早くと晩は、駅が混んで、さらに車中はゼロ距離接触になる。晩は酔っ払いも多いから気をつけて」
また、「Suica」について「自分の名前が書かれ、使い切ったらチャージができる。理論上は別人が使うことはできない」といった注意まである。

さらに、電車に関するものだけで注意が続々……。
「日本では電車のチカン(色魔)問題が厳重。特に混雑している時間はチカンのように見られないように注意が必要」
「電車内ではケータイをマナーモード(即震機)に」「老人、妊婦、小さな子連れ、身体の不自由な人には車両ごとに優先席があって、すぐに席を譲るようになっている」
「女性専用車があり、男性は絶対に進入できない」
「日本人は冷えるのを嫌うので、弱冷房車がある」
「プラットホームには喫煙スペースがあるが、7時30分から9時30分の繁忙時間は全面禁煙」
「日本人はエスカレーターに乗るとき左に立ち、右側を歩行する人にあける」
電車・駅関連だけで、本当に多岐にわたっていて複雑! このあたりになると、「日本での注意」というよりも、自分自身が地方から上京してきたばかりの頃に混乱した「東京ローカルルール」のようなものと共通してくる。

余談だが、この本では定番スポットのほか、流行りのラーメン店などもきっちりおさえられ、マニアックな情報が網羅されているが、さらに興味深いのは、4泊5日、3泊4日などのプランで組まれた「行程範例」だ。
「東京初心者向け」コースや、下町めぐり、「買い物しまくるなら~」として各地のアウトレットめぐり、「親子向け」としてディズニーランド、三鷹の宮崎駿博物館、サンシャインシティのナンジャタウンなどのコースがあるほか、「月島、全日秋葉原、三鷹の宮崎駿博物館、中野、上野アメ横一帯、おもちゃ屋のYamashiroya」なんてディープなコースまで提案されている。

いろいろ楽しく、複雑な東京の街。外国人でなくとも、さらに、東京の人が読んでも発見の多い本です。

2011年11月9日水曜日

震災前の宮城県沿岸部を残した写真集

よき時代って言うけど、その受け方は人次第ですよね。震災前の風景とか大切なことですが、それに縛られてるような雰囲気は在りますね。

3月に起こった東日本大震災。一部ではあるが、テレビ等で現在の被災地の様子を目にする機会がある。今は復興に向けて日本が一丸となりながら、前を向いて歩いていくしかない。

ただ、震災前のすべてをリセットするべきなのだろうか? この一冊を見た時、本当に胸にグッと迫るものがあった。10月14日から一般発売されている「みやぎの思い出写真集『海と 風と 町と』」には、震災で津波被害を受けた宮城県沿岸部の“被災前”が記録されている。当時の自然や町並みなどの風景を収めた、写真集である。

この一冊を制作したきっかけについて、発売元である「南北社」の矢吹さんに話を伺った。
「当社に石巻出身のスタッフがいるのですが、被災地に出入りする中、地元の方々の『きれいだった頃の風景をもう一度見たい』という言葉を耳にしたそうなんです」
こうした声を受け、5月上旬に「みやぎの思い出写真集制作員会」は発足している。

そして、掲載されている写真について。この中の一部は宮城県の15の市町村から提供されたものだが、それ以外の大半は5月下旬~7月29日までの期間に一般に向けて募集をした結果、寄せられた写真たちである。計3,195点の写真が集まり、その中から選定された330点が写真集に掲載された。
「一般の方々から募集したのですが、その中にはプロのカメラマンの方からの応募もありました」(矢吹さん)

こうして完成となった、今回の一冊。10月9日から仮設住宅で生活している方々を対象に無料で配布されており、最終的には3万2000部を配布する予定だそう。
「元々、この写真集は『被災された方々に無料でお届けしたい』という思いを大前提に制作された物です」(矢吹さん)

だが、一般発売(10000部)も行われている。宮城県内の主な書店とローソン各店、もしくは専用サイトでの購入が可能なのだが、その価格が良心的だ。写真集としては破格の525円(税込み)である。
その辺りについても、ご説明させていただきたい

まず、写真集を無償で配布するために必要な費用は、企業及び個人からの協賛金を募って約80%が確保されている。それ以外の不足分は、一旦は制作委員会が負担する。
「4000冊が売れると収益が出るので、その分は来年4月に宮城県に寄付いたします」(矢吹さん)
ちなみに協賛については数多くの企業が集まった。中でも、石巻に工場がある日本製紙からの助けが大きかったようだ。写真集制作に必要な“紙”を提供してくれたのが、同社だったのだ。
こうした数々の力が結集し、この写真集は形となった。

私も写真集を見させていただいたのだが、本当に美しい風景ばかりだ。仕事に精を出す人々の活気あふれる光景。大きくて美しい、自然の風景。祭りで盛り上がる、ハレの日の人々の様子。のどかで何てことないのだが、ホッとさせてくれる町並み。
正直、こんな風に言葉で表現しようとしてもしきれない。本当に心の底から被災地の方々に見てもらいたい、そんな写真ばかりが掲載されていた。

この写真集を目にした被災者の方々からの反響は、以下である。
「昔のきれいな写真を見て、元気が出た」
「自分の家が写った写真を発見し、思わず涙しました。一生の宝物にします」
「こういうのが欲しかったんです。親戚にも送ってあげたい」
「ページをめくるごとに、懐かしい思い出がよみがえってきます」
仙台市内の書店では“今週売れている本”の第1位になったこともあるそうだ。

3月11日、一瞬にして失われてしまった風景。再び会うことはできないが、いつまでも忘れることのできない風景たち。
「あの日のふるさとに帰りたい」という思いが、未来につながるのではないだろうか。

2011年11月8日火曜日

コンビニおにぎりで「本当に売れてる具」は何?

お結びといったらどのコンビニでも基本とされる商品ですね。中には店舗内でそのまま作ったものを売ってるなんて場所も見かけます。流石に奇をてらいすぎた物は余ってたりしますけどね。

よく「好きなおにぎりの具」アンケートなどで、「鮭」や「ツナマヨ」上位という結果を見かける。
でも、本当に、そうなのだろうか。

というのも、ある夜、小腹が空いて「コンビニでおにぎりでも……」と思い、梅おにぎりを探したところ、棚にあったのは、ツナマヨや焼き肉など、こってり系だけ。
そこで、何店舗かまわってみたが、どこもツナマヨや肉系などばかりが残っていた。以来、夕方以降のスーパーやコンビニでチェックしてみると、やっぱり梅や昆布は売り切れていて、ツナマヨなどが残っているように見える。
もちろんツナマヨなどは若い人を中心に人気があるだろうけど、おにぎりは2個くらい買う人が多いだろうから、案外いちばん売れるのは、それぞれの「本命」にプラスする「あっさり系(梅や昆布、カツオ)」のほうだったりしない?

昨年15億個のおにぎりを売り上げたというセブンイレブンに聞くと、
「エリアによっても、店によっても、時期によっても中味がどんどん変わりますし、内訳データは出しておりません」とのこと。
続いて、ファミリーマートに聞いたところ、
「1位は鮭」という返答だった。

では、ローソンは? 
広報担当者が教えてくれたのは、以下の結果だ。

1位 シーチキンマヨネーズ
2位 焼さけハラミ
3位 日高昆布
4位 胡麻さけ
5位 紀州南高梅
6位 熟成生たらこ
7位 紅さけ
8位 塩にぎり
9位 わかめごはん
10位 辛子明太子
(2011年3月~8月分)

1位のシーチキンマヨネーズの個数は、なんと2位の2倍という、ぶっちぎり人気!
「年代別にみても、10代未満から10代、20代、30代、40代までのすべてで、男女ともに1位がシーチキンマヨネーズで、不動の1位なんです」
なんという強さ……。同様にやはり人気が高い「さけ」は、種類が3種類もあるだけに、さけの中で好みが分かれるのかも。その一方で、最もシンプルな「塩にぎり」が8位にランクインしているのも、面白い傾向だ。

「店舗ごとで、街のお客様に求められる商品をたくさん発注していますので、シーチキンマヨネーズはどのお店にも確実に置いています。多くのお客様に人気が高い具材のため、種類が少なくなった時でも必ず置いておけるようにしています」

ちなみに、50代総合では「1位 日高昆布、2位 焼さけハラミ、3位 シーチキンマヨネーズ」となり、60代になると、シーチキンマヨネーズが5位に落ちて、かわりに梅が上位に入ってくる。また、40代女性では、梅が上位に入るそうだ。
「シニア層と女性の嗜好が似ているという特徴があるという傾向が以前から見られたのですが、おにぎりの具に関しても興味深い結果となっています」
「梅がいつも売り切れ」と思うのは、その街に合わせた数を仕入れているため、比較的若者の多い首都圏の店舗では仕入れ個数が少ないらしい……。加えていえば「本命=シーチキン」にプラスする「あっさり系」は好みが分かれるため、分散するということだろうか……。

ところで、ローソンでは現在、すべてのおにぎりで「新潟コシヒカリ」を使用しているほか、海苔、塩などにもこだわっている。
そんななか、2009年までは単価の安いおにぎりが売れていたが、2010年から「やや高級なもの」が売れるようになり、おにぎり全体の売り上げもかなり伸びているそうだ。なかでも、原材料にこだわった「贅沢シリーズ」はかなり評判が良いという。

具のこだわりもそれぞれあり、様々なバリエーションがあるなかで、それでも不動の1位であり続ける「シーチキンマヨネーズ」の強さ。おそれいりました……。

2011年11月7日月曜日

男はコッテリ、女はサッパリをなぜ好む?

男女でも好みは色々、一般的にどっちのほうが多い程度ならば意外な回答だってあるものです。それが食べ物だったりすると夫婦間にアキレツを生む場合も・・・。

食べることが大好きな筆者と妻。散歩だの買物だのでちょっと外出すると、それに乗じてしょっちゅう外食をする。しかし、食べることが好きだという点では気の合う夫婦も、食の好みは異なるため、店を決める際にはモメることもしばしばだ。

筆者が特に好きな食べ物がラーメンである。それゆえ、外食となるとラーメン屋に行きたくなる。が、妻はラーメンが苦手。いわく、「ラーメンはコッテリしてるから」だとか。筆者に負けてともにラーメン屋へ入っても、注文するのは決まって塩ラーメンなど、メニューの中で最もサッパリ味のラーメン。そのサッパリラーメンですら残してしまうことも少なくない。

筆者の好物に付き合ってくれたお礼として、今度は妻の好きな店へ行く。オシャレなカフェなどが多い。そして、サッパリしたメニューが多い。野菜中心、ヘルシー志向。大食い、コッテリ好きな筆者としては、なんとも物足りない。

筆者も、サッパリした料理が嫌いなわけではない。また、妻も焼肉や揚げ物を好んで口にしたりもする。ただ、食の好みの傾向として、筆者はコッテリ派、妻はサッパリ派であることは間違いのないところだ。

思えば、筆者夫婦に限らず、どちらかといえば男性はコッテリ系の味付けや料理を好む場合が多く、女性向けのメニューはサッパリ系である場合が多い気がする。

味の素が実施した「夏の食卓アンケート」。これによると、真夏に食べたい味付けとして、「コッテリ」や「塩辛い」「甘い」味を挙げる男性回答者に対し、「サッパリ」した味付けと答えたのは女性回答者の割合が高かったという。

また、味を表現した「味ことば」について調査したミツカンのアンケートによると、女性がよく使う「味ことば」の回答トップ3に「あっさり」が入っているのに対し、男性の回答ではランク外であった。これらの回答は、男性よりも女性の方が「サッパリ」「あっさり」した味を好んでいることを表しているといえよう。

以前にウェブ上で公表された「好きなラーメンの味ランキング」の男性編では、トップ5に「こってりとんこつ」「こってりしょうゆ」「こってり味噌」とコッテリ系の味が3つランクイン。

1位は「あっさりしょうゆ」であったものの、ランクインの割合で見ると、男性にコッテリ味が支持されていることがうかがえる。

厚生労働省の調査では、男性肥満者の割合が20年前に比べて大きく増加しているのに対し、女性の肥満者は年々減少傾向にあるという。そればかりか、20~40代の女性には低体重、つまりヤセすぎの人が増えているそうだ。

男性と女性では、体格にも差がある。食べる量も、必然的に異なってくるだろう。ただ、男性よりも女性の方が日頃から体重や体型に気をつけ、食事もヘルシー志向である場合が多いといえそうだ。

もちろん、コッテリを好む女性も数多くいるし、サッパリ大好きな男性もいる。一概にいうことはできない。が、傾向として男性はコッテリ派、女性はサッパリ派が多いようだ。その理由は、ヘルシー志向の差にあるのかもしれない。日頃からヘルシーな食事を心がけることで、必然的に味覚もサッパリ系を好むようになる。逆に、油っこかったり濃い目の味を普段から食べていれば、それがスタンダードになってコッテリ系を好むようになろう。

コッテリ派の筆者は、明らかにメタボリック。ダイエットの必要に迫られている。コッテリを食べたい気持ちを抑えて、サッパリ系の食事を中心にすれば、いずれサッパリ派に転身するのかもしれない。だが、今日も今日とてコッテリなラーメン屋へと妻を誘ってしまうのだった。

2011年11月6日日曜日

「動物園ライター」って何?

震災から立ち直ろうとする動物園に不覚にも感動した今日この頃。もっともそこに行く気もないんですけどね。いまだに保護されっぱなしの動物はちょっと気にはなりますけど。

上野動物園にパンダを見に来る家族連れでにぎわう今日この頃、あるところで動物園ライターの森遊民さんに出会った。「動物ライター」というのは知っているけど、「動物園ライター」って、どう違うの? と思ったので森さんに突っ込んで聞いてみました。

森さんが、動物園ライターを名乗りだしたのは、たまたま漫画の原作を書くために動物園に取材に行ったのがきっかけだったとか。ところが一度、動物園に行きだしたら面白くて止められなくなり、そのまま動物園ライターになったのだそうです。
ちなみに動物園ライターと、動物ライターの違いについて聞いてみると、「一般に動物ライターは、動物の生態について専門的に学んだり、大学で動物学を学んでいる人が大多数。どこかで専門的な知識を学んだわけでもなく、ただ動物園が好きで通いまくることで、動物園に関する記事を書くようになり、動物園ライターと名乗るようになった」のだと森さん。
時間さえあれば毎週どこかの動物園に行っているし、はまっているときは集中的に毎日行っているというのだから、さすが動物園ライターです。

そんなに動物園って面白いですか? と聞いてみたところ、「子供のころの記憶にある動物園と違って、もっと動物園が面白くなっていた。大人が楽しみながら、動物について学べるような仕組みがあったりして、動物を実感できる。一人で行っても絶対ハマるほど、現代の動物園は深い」んだそうです。

ちなみに、日本には動物園法がないので、動物園は日本動物園水族館協会に所属しているところが多く、その数は動物園だけでも全国で約90カ所。森さんは、動物園を4つの種類に分類しています。
1. 都市のど真ん中にあるタイプ
2. 郊外にある広いタイプ
3. サファリパークのように放し飼いをしているタイプ
4. 小さいけど小さいなりにこだわっているタイプ
中でも4. の比較的小さい規模の動物園が飼育係の担当者の工夫がみられるので面白いのだそうです。

ちなみに動物園ライターの仕事は、動物園イベントや動物番組に呼ばれたり、動物園を紹介する原稿を書いたり、動物ライターと同じように動物を観察する仕事も。中でも森さんにとって印象的だったのは昨年、あの有名ネイチャー雑誌・ナショナルジオグラフィックで、四国の愛媛県立とべ動物園について書いた記事。この愛媛県立とべ動物園は、日本ではじめてのアフリカ象の人工飼育を成功した動物園で、ふつうアフリカ象は、人の手で育てるとずっと人に頼るようになってしまうのですが、そこで育児放棄した母象と、群れを作るために作った弟象と一緒に家族の群れに戻すことに成功したのだそうです。この感動的なお話はこの秋、児童書としても発売されることになったのだとか。

動物園にまつわる感動的な話題を知ると、その動物園を訪れるにしても一味違いますね。
この秋は、動物園にカシハラも行ってみようかな……?!

2011年11月5日土曜日

お餅みたいな食感の“日本のチーズケーキ”

料理漫画でもいってましたが食べるに対して食感って大事ですね。ある程度コレが食べたいというときでもやはり歯ごたえとかで気分が決まったりします。
 
小さい頃。お餅にとろけるチーズを乗っけて、温めてよく食べていた。餅も伸びるし、チーズも伸びる。それが面白かったのだけど、単純に味の相性も良かったと思う。
今思うと、図らずもやっていたワケだ。和洋折衷とも言えるおやつ作りを、自分でも気づかないうちに。

そんな幼少期がフラッシュバックしたのは、このスイーツの存在を知ったから。札幌市の洋菓子店「わらく堂」が販売する『おもっちーず』は、今までにないチーズケーキ。
何が既存のチーズケーキと違うかというと、「これは餅か!?」ってくらいにグワ~っと伸びるらしいのだ。つきたてのお餅がグワ~っと伸びるのと同様に、伸びっぷりがグワ~っとなるチーズケーキ。そのサマを想像するだけで、食欲がソソる。私の頭の中には、杵と臼に両端を引っ張られて伸びに伸びる真っ白いお餅の様子が、鮮やかに再生されています。

もう、文句なしに嬉しい。だけど、どうしてこんなスイーツを作ろうと思ったのか? その開発のきっかけを、同店に伺ってみた。
「“日本のチーズケーキ”をコンセプトに、日本らしいチーズケーキができないかと考えました」(「わらく堂」工場長・関根さん)
日本と言えば、昔から食べられているお餅。お餅で美味しそうに感じるのは、その伸びる様子。それで“お餅のように伸びるチーズケーキ”という発想に行き着き、この『おもっちーず』は開発されたのだ。

では、どれほど伸びるというのか? そこは、体験してみるしかない。早速、取り寄せて私も食べてみました!
食べる前には、解凍が必要である。普段は冷凍庫で保存する食品ではあるが、食べたくなったら冷蔵庫に移して2~3時間待機。すると良い具合の食感になり、まさに食べ頃らしいのだ。

というわけで、2時間経過。もう食べたくて食べたくて、ガマンの限界です。ようやく、良きタイミングによる『おもっちーず』との対面!
手に取ると、笑ってしまった。指に伝わる感触が、完全にお餅だから。
 
このチーズケーキの端っこをパクッと口に含み、グイーンと伸ばそうとすると予想通りにグワ~っと伸びて、やっぱりその様子がお餅みたいだから面白い。コレ、手掴みよりもスプーンやフォークで食べた方がいいと思う。手で触れると、グニュッと潰してしまいそうになるよ。それほどの柔らかさというか。
そして、味はまさにチーズケーキで。非常に濃厚です。よくあるチーズケーキより“チーズ”のテイストは高いと思う。後に引く美味しさで、なるほど“北海道の味”だな!
「フランスパンにつけたら、冷たいチーズフォンデュになります。お好きなフルーツにつければ、美味しさが際立ちます。クラッカーに乗せるとワインのおつまみにもピッタリ! 野菜スティックにつけていただいても美味しいです」(関根さん)
どのシチュエーションもまた、美味しさを想像させてくれる。あのお餅独特の伸びっぷりを前提にイマジンしていただきたい。

そんな、この『おもっちーず』。4月末からのテスト販売では、2週間で5000パックを完売させた。その後、さらに美味しくした状態で9月からの正式販売を開始し、今までに50000パックを売り上げている。大人気商品です。
「伸びるチーズケーキということで、『もちもちした食感が食べてみたい!』と好奇心を持っていただいたことが人気の要因だと思います」(関根さん)
同店に寄せられた反響も「初めての食感です!」、「チーズケーキがこんなに伸びるとは思わなかった」、「生キャラメル、半熟スイーツの次のブームはこのスイーツだ!」と、その伸びっぷりに皆さんの視線は集中している模様。

現在はスイートオーケストラ白石本店、大丸札幌店、札幌丸井今井、JR白石キヨスク店、全国百貨店北海道物産展等で、この『おもっちーず』は販売されている。価格は840円(税込み)。

「当初は若い女性をターゲットに“おしゃれなスイーツ”として考えておりました。しかし、日本人が好きなお餅のような食感ですので、結果的に老若男女の幅広い方々に受け入れられているようです」(関根さん)
チーズケーキが食べたいし、お餅みたいな伸びっぷりも楽しみたい。
 
そんな時にこそ出番なのだけれど、そんな時じゃなくても食べてみたくなる美味しさでした。

2011年11月4日金曜日

「調味料選手権2011」に行ってきた

国の記念日だと大抵カレンダーの赤字で休みが分かるから御子さんたちも覚えているものですが、語呂合わせやマイナーな記念日ってそうそう知っているものでもありません。

11月3日は「調味料の日」。

「113(いいみかく)」の語呂合わせや、日本の伝統調味料を見直し、和食の素晴らしさを文化として考えようということなどから、制定されたものらしい。

そんな11月3日に、「調味料選手権2011~新定番調味料を探せ!~」なるイベントが催されると耳にした。
ちなみに、昨年の総合1位は、後にブームとなった「かぼすこ」(大分県)。今後の調味料のトレンドをいち早く知るという意味でも、要チェックかも……ということで、実際にイベントに足を運んでみた。

事前に「デザイン性」「味の斬新、新規性」「日常性」「ご当地度」「ストーリー性」の5項目を基準に審査が行われたそうで、この日の最終審査に残った調味料は、上位11品。
その他、最終審査に漏れたものの、ユニークな全国各地の調味料も豊富に集められており、会場には様々な調味料による濃厚な香りが立ち込めていた。

最終審査は、生産者自身と、推薦者である「調味料マイスター」(日本野菜ソムリエ協会育成)とがタッグを組み、プレゼンを行うスタイル。その後、参加者たちがそれぞれ試食、生産者に話を聞いたりしつつ、投票する。

結果は……。
1位「しょつる 十年熟仙」(秋田/株式会社諸井酒造)
2位「ふくのオイル漬け 中華風味」(福岡/博多い津み)
3位「大葉ソース」(大分/田中醤油店)
4位「柚子ぽん酢ペースト」(大分/原次郎左衛門の味噌醤油蔵)
5位「雲仙アンチョビ えたりでイタリアン」(長崎/伊勢屋旅館)

総合優勝となった「しょつる 十年熟仙」は、魚醤としては非常に貴重な10年物。秋田の県魚・ハタハタと天日塩のみで作っており、通常商品の3年熟成よりも3倍以上の年月をかけて、ゆっくり熟成させた素材のみのピュアな味という。
少量を実際に舐めてみると、最初に感じる強めの塩気から、数秒かけて、ゆっくりと甘み・うまみ・深みがほどけるように広がってくる。
「魚醤といえば、今はナンプラー、ヌクマムなど海外のものがポピュラーになっていますが、日本には昔から『しょっつる』『いしる』『いかなご醤油』の三大魚醤があります。

魚醤文化が衰退しているいま、途絶えた日本の食文化を復活させたいという思いがありました」
と、生産者。

その他、各部門賞も発表されたが、まず驚いたのは、上位11品のいずれも美味しいばかりでなく、全く知らない商品ばかりだったこと。

さらに、魚醤と同じく、「えたり(カタクチイワシの塩辛)」など、衰退しつつある日本の食文化への思いがあり、また、「小さくて廃棄されるしかなかったふぐ」「産業廃棄物として廃棄されてきたワインのしぼりかす(ワインペースト/山梨 グリーンバース)」「折れて商品価値が下がってしまったニシン(にしんのおかげ/北海道 一八工業水産株式会社)」など、「もったいない」という思いから、技術・工夫によって、新たに「調味料」として生まれ変わったものなども多数あった。

いずれも生産者・地域の食文化に対する熱い思いを感じるものばかり。改めて感じたのは、「日本人で良かった」ということ。私たちが知らない、新しくも懐かしい「味」は、まだまだ日本中にたくさんあるかもしれません。

2011年11月3日木曜日

歴史上の人物はダメ人間だった?

いつの時代だって人間って偉人がいますけど、実際問答無用で駄目人間っていたりするんですよ。それがどの程度かは個々によりますが、意外な有名人とかもしかした…なんてことがあるかもしれませんね。

歴史上の人物がダメ人間ばかりなことを検証した本を見かけた。その名も『ダメ人間の日本史』と『ダメ人間の世界史』。それによれば、足利尊氏はヘタレ、北条泰時はアル中、在原業平はシスコン、滝沢馬琴は引きこもり、柳田国男はノゾキマニア、デカルトの人形好き、ヘーゲルのラノベオタクなど、あの有名人がそんな人だったとは! と驚く事情が書かれている。

どうしてこんな本を書いたのか、著者の山田昌弘さんに聞いてみた。もともと山田さんは、京都大学歴史研究会のOBで、その中の有志で話していたことをホームページにまとめたところ反響があって書籍化されたそう。
山田さんいわく、「歴史オタクが高じて、色々調べていると、現代的な切り口も見えてくる。歴史上の有名な人物は多くが変わり者で、社会的な適応性に乏しいダメ人間だった。今に置き換えて考えれば、オタクな人物も多い」のだとか。

中でも、世界史ダメ一番人気のキルケゴールは、メイドを大事にすればデンマークは素晴らしい国になると言い切ったメイドマニア。ちなみにキルケゴール(キェルケゴール)は、デンマークの哲学者であり、実存主義の創始者で著書「死に至る病」が有名な人。
日本史ダメの一番人気は、徒然草で有名な吉田兼好。優れた洞察力がある人生の達人のように思われていますが、実は現実に生きる女はいらない、女抜きの暮らしを提唱した人。そのくせ恋愛が大好きで、今でいえば、文字の中の女性に恋い焦がれる二次元オタクそのもの。昔でも相当危ない人みたい……。

山田さんのいた京都大学歴史研究会は会員のほとんどが男性で、いわば歴女ならぬ歴男の集団。しかもオタクばかりだったとか。
だからいくらでも、歴史オタク話ができて楽しめたんだそう。つまりオタクならではの感性でオタクを批評したということなのですね!
オタク同士にしかわからない視点で見る歴史。これなら歴史嫌いでも楽しめるかも?!

2011年11月2日水曜日

電子マネーや入館証になる腕時計

身近なものに幾多の機能が追加されてると結構便利ですが、それってなくしたら一転してかなり不便な状況になるって気がします。それでも合理性があるものって人気でるんですがね。

とにかく、小銭がメンドくさい。財布の中身が、1円単位で増えたり減ったりするのが……。しかし、助かった。何がって、「おサイフケータイ」の登場である。これさえあれば、楽チン。商品をレジに持って行って、そこからはあっという間だ。

しかし、ここからさらにもう一歩進む。もう、財布無しで色々できる時代がやって来ているのだ。大日本印刷(以下「DNP」)と和工が共同開発した『RISNY(リスニー)』は、FeliCaチップ搭載の腕時計。
これで、何と電子マネーによる決済などが行えるとのこと。これからは、買い物時にポケットやバッグから財布を出す手間さえ不要になるわけか。

……と思っていたが、どうやら私が知らなかっただけらしい。実は、『RISNY』以前にもFeliCa搭載のアイテムは続々発表されていたそうで。
「キーホルダー、リストバンドなどFeliCa搭載の製品は、カード以外の形状でも市場に出て来ています。形を変えることで、デザイン性、携帯性が向上し、今までFeliCaカードを利用したことのないユーザー層(女性、高齢者、子供など)の利用拡大を期待しています」(DNP・担当者)

では、今回はどうして“時計”なのか?
「『スポーツやレジャーの際は、財布やカードを持ちたくない』という声は多く寄せられていました。ただ、『リストバンドにするならば、時計機能も欲しい』というニーズも高かったのです」(DNP・担当者)

なんと、特定のリーダライターとの互換性を保証するFeliCa性能検定に認定された腕時計型は、今回が国内初だという。どうやら、今まで腕時計に FeliCaを組み込めなかった理由があるようなのだ。
「時計に使用する金属がFeliCaの通信機能に大きく影響し、通信性能を保持できませんでした」(DNP・担当者)

しかし今回、FeliCaモジュールの性能向上と時計部の仕様検討をした結果、ようやく製品化が実現した。
「FeliCaモジュールのサイズが大きいため、デザイン性を意識しながらFeliCaモジュールを腕時計に組み込める仕様にした点に苦労しました」(DNP・担当者)
FeliCaモジュールを小さくすれば、通信性能が劣ってしまう。

その上で通信性能を保持するため、通信確認をしながら開発は進んでいった。

そんな苦労を重ねながら完成した、今回の『RISNY』。この腕時計では、どんな用途が可能になるのだろう?
「『RISNY』に組み込まれているFeliCaモジュールのICチップは、既存のFeliCa カードと同様のものです。そのため、カードで実現されているアプリケーション(電子マネー機能)などが塔載可能です」
考え方としては、こうだ。DNPでは、企業等から依頼された内容のアプリケーション(電子マネー機能)を発行して提供をする。今回は、共同開発を行った「和工」の意向によってEdyを時計に塔載し、和工から“Edy塔載時計”が販売される。……という流れ。

勿論、他のアプリケーションの依頼を受ければ、発行して提供してくれる(Suicaなどの交通系アプリケーションは不可)。
「社員証や会員証用途として各企業様からアプリケーションの要望を受け、発行し提供いたします」(担当者)

今回の『RISNY』は、ウェブサイトや時計販売店、量販店等にて12月中の販売開始が予定されており、事前に先行予約販売も行われるという。

どうでしょう。この新しい腕時計、新しモノ好きには見逃せない! そして、“情弱”と自覚している私も見逃したくない!! これを身に付け、フラッと街にくり出す。そして、スマートに街を闊歩。ドンドン、未来になってきているな……。

2011年11月1日火曜日

乗客や車内販売もおもしろい! アジアの鈍行列車

世界とまで大きなことを言わなくても町単位で珍しいものってありますよね。世間的には認知されてなくてもあっと驚かされるものをみると見知らぬ県にでも旅に出たくなります。

ドライブやクルーズなど移動そのものを味わう旅のスタイルはいろいろあるが、列車の旅はその代表格。ただ、最近は日本でも地方の廃線が増え、ローカル線の鈍行列車の旅ともなると、なかなかスケジュールが立てにくい。ところがそれを海外、それもアジアでやってみた人がいた。

『鈍行列車のアジア旅』(下川裕治、中田浩資[写真]/双葉文庫)はタイ、マレーシア、ベトナム、中国、台湾、韓国、フィリピンを鈍行列車でまわったユニークな旅の記録だ。

アジアの鈍行列車旅なんて聞くと、バックパッカーの若者を連想する人もいるかもしれないが、著者の下川さんは1954年生まれの57歳。ヘンにはしゃいだりせず、かといって冷めているわけでもなく。冷静な観察眼を保ちつつどこかお茶目で、その場の空気に自然となじんでゆく。淡々としているようで、車内の雰囲気が手に取るようにわかる文章が小気味よく、思わずププッと吹き出してしまうエピソードもいっぱい。椅子に座って背を正して読むというより、畳にでもゴロリと寝転がって読みたい一冊だ。

ひとくちでアジアの鈍行列車といっても、地域によってだいぶ雰囲気は違う。同書では7つのルートを紹介しているが、下川さんによれば、初心者向けは台湾。
「日本語がわかる人が多く、列車の運行がしっかりしています。時刻表が手に入れば、予定が立ちます」
ほかには韓国も列車の本数が多く、言葉の問題をのぞけば旅しやすいそう。

逆にディープなアジアの魅力を感じられるのは、タイ。窓の開く車体、車内販売のおもしろさ、おかしい乗客たち……など、まさにローカルラインの真骨頂。ただ、中国、ベトナム、フィリピンあたりもそれぞれにおもしろく、タイとの差はあまりないそうだ。

写真も豊富で、巻頭のカラー写真と本文中の数百枚の写真が、アジア特有の空気感をよりリアルに伝えてくれる。撮影は旅の同行者であるフォトグラファー中田さん。
「アジアの鈍行列車に乗ってみて感じたのは、何よりもそこには生活があるということです。
 
生活や文化の移り変わりが鈍行のスピードでゆっくりと感じられました。どこかに行って何かをするのではなく、移動そのものが旅なんだと実感しました」
空調がコントロールされ、窓が開かない近代的な車両もあるが、やはり開けっ放しの窓こそ、光と温度をダイレクトに感じられる鈍行の醍醐味とのこと。ちなみに、プラットホームで撮影に夢中になっているあいだに電車から完全に閉め出され、手でこじ開けて入った経験もあるそうだ。

最後に、下川さんにアジア鈍行列車旅を成功させる秘訣を聞いた。
「台湾、韓国以外は、なんとかなるという楽観的な気持ちが必要。それからひとりの場合は荷物を少なめに。駅でトイレにいったり、切符を買ったり、荷物を持ちながらですから。スーツケースはやめたほうがいいかも。列車にも乗せにくいし」
時刻表も必須ツールだが、どうやって手に入れるかがけっこう大変らしい。

身近なアジアが新たな表情で迫ってくる鈍行列車の旅。とりあえず、この本を読むだけでも、アジアのローカルラインに乗っている気分は相当味わえます。