髪型は人間の印象を決める重要の要素ですが、元々髪が無い人がもさもさになるともう別人にしか見えません。しかしそれが人だけとは限らないのが味噌ですね。
年も年末が近づいてきた。実は私の実家は自営なので、お正月は毎年ダルマを買うのが常。だから幼少の頃より、ダルマは“縁起のいいもの”として非常に馴染みがあった。
しかし、これには断じて馴染みがない。オンラインショップの「密買東京」から販売されているダルマはリーゼントなのだ。完全にヤンキー。商品名は、臆面もなく『ぐれダルマ』である。
それにしても、何でこんな髪型のダルマを作っているのか?
「『ぐれダルマ』を制作したのは、アートユニットの『現代美術二等兵』さんなんですが、ふとしたアイデアで作品を生み出している方々なので、思い付きでやっているのかもしれません」(同店・担当者)
きっかけなど、無い。
ただ、このダルマの作者・現代美術二等兵のホームページ内には、このような説明が付けられていた。なるほど、こういうキャラだと考えたらいいわけだな……。
「ダルマというのは悟りを開くために、じっと忍耐強く修行を続けているというシチュエーションであるのですが、このダルマは、あまりに退屈な修行に嫌気がさして不良化した、気の短いダルマです。まだまだ若造なのでヘアスタイルはとさかヘアーです。修行はしてるが『やんのか、コラァ!』 と、凄んでみせるやんちゃオブジェです」
そんな凄みを効かせているダルマを買うのは、どんな人達なのだろう。ウチの親みたいに、商売繁盛を願う会社や商店などか?
「作品としてもユーモアとしてもツボにはまった、個人の方がオーダーしていくことが多いです。ただ、仕事の願掛けとして購入された方もいらっしゃいました」(担当者)
実はこの不良ダルマ、同店で2007年より発売されているのだが、毎年のお正月シーズンにコンスタントに売れるという性質の作品ではない。キモは、このとさかが気に入るかどうか。理解者が買っていく。
そして、一つだけ断りを入れておきたい。知ってもらいたいのだ。このダルマ、素行は悪いが物は良い。
「元々は一つの作品として発表されていた物を、私どもが『当店で販売できないか』と打診し、紹介が実現したダルマです」(担当者)
だからこそ、元となる型は存在しない。
注文が来たら1個ずつ作りこんでいき、3ヵ月をかけて丁寧に作り上げる。塗りなども含めて、全部だ。
そんな『ぐれダルマ』の価格は157,500円(税込み)。同店のホームページにて販売されている。
クドクド書いてきたが、何よりこの1枚の写真にかなう説得力はないと思う。グレちゃうほどの心の荒ぶりがあるのだろう。ピンときた方は、買わずとも彼(ダルマ)の心の内だけは理解してあげてください。