移動中に出る機内食。駅とかで出るお弁当とかならイイけど、空の旅行とかだとある程度保存が出来ないといけないから作れるものって限られるよね。
空の旅の快適さを左右する要素はいろいろあるが、機内食もそのひとつ。最近は、ミシュランシェフが考案する料理やその国のご当地メニューなどバラエティ豊かで、各航空会社のこだわりがよくわかる。
ただ、以前コネタでも紹介したように、機内食づくりには何かと苦労も多い。機内では使える食材や量、食器の形状などに制限があるうえ、地上で作った料理を機内で温め直すという特殊な工程もある。地上で考案したメニューを機内でも忠実に再現するためには考慮すべきことが山ほどあるのだ。
ルフトハンザ ドイツ航空(以下、ルフトハンザ)では、世界の著名シェフがビジネス・ファーストクラスの機内食を監修するプログラム「スターシェフ」が好評だ。ドイツ発便では2ヶ月毎にシェフが変わり、日本発便でも提携ホテルのシェフのよって2ヶ月毎にメニューが変更されている。
こう頻繁に変わると、機内食メニューって案外簡単に決まるのかと思う人もいるかもしれないが、なんと同社では、シェフを決めるところから機内食メニューを最終決定するまでに1年以上もかけているというから驚きだ。
ちょうど今年の11月1日より、日本発便の機内食も一新され、成田・中部発便では「ザ・ペニンシュラ東京」と提携をスタート。同ホテルのアダム・マティス総料理長が考案する洋食と児島輝幸料理長による和食が提供されている。児島さんによれば、最初にルフトハンザから話がきたのが、昨年10月だったというから、まさに一年がかりの話だ。
今回、新たに機内食を開発するにあたり、両シェフは150種類ものメニューを考案。その後、実際に機内食をつくる空港のケータリング会社(機内食工場)にて3度の試食会を実施。試作を繰り返した結果、現在提供しているメニューが完成したという。和食にかんしては、
「旬の素材の味わいや色合いを楽しんでもらいたいと思い、さまざまな日本の食材を使っています」
と児島さん。
今後も2カ月ごとにメニューは変更されるが、メニューづくりにはケータリング会社をはじめ、多くのパートナーとの協力が必要なので、最終決定までに平均6~8ヶ月はかかるそう。
シェフは通常の業務と兼任でスターシェフを担当するため、そのときによってかける時間は多少変わるし、メニューも何ヶ月分かはまとめて考案しているというが、それでもかなりの時間を使っているのは確か。
ドイツ発便では2ヶ月毎にシェフも変わるため、企画検討は毎回だいたい1年ほど前から始めているとのこと。また、関西発便でも11月1日より新たに「スイスホテル南海大阪」との提携を開始し、新メニューを提供している。
機内食の開発期間は航空会社によって違うものの、地上のレストランなら、その日仕入れた素材によってメニューを決める、なんて店もあることを考えると、基本的にどこも長い時間をかけて決定しているもの。美味しさの裏に隠れた多くの人の苦労やこだわりを知れば、いつもの機内食がより味わい深く感じられるかもしれません。