調理器具も時代の変化とともに様々な便利機能が追加されてきましたが、問題は使う側の認識。ある程度機械に詳しい方ならいざ知らず、機械音痴や老人などなかなか馴れない人もいるのです。
食品が傷みやすい時期。
「冷蔵よりも、すぐに冷凍してしまったほうが長持ちし、美味しく食べられる」という食品は多数ある。
だが、問題は、解凍がなかなかうまくいかないこと!
自然解凍や、冷凍室から冷蔵室にうつして解凍する場合、失敗も少ないが、すぐに使いたい・食べたいときは多いもの。
となると、電子レンジを使用することも多いが、自動ボタンで「全解凍」「半解凍」などを選ぶと、一部はまだ凍っているのに、他の部分は熱くなりすぎたり、縮んだりするということが起こりがちだ。
なぜ解凍がうまくいかないの? 一般社団法人日本電機工業会・家電部担当者に聞いた。
「電波には『尖ったところに集中する』『氷より水に吸収されやすい』『厚みがある物は内部より外側が加熱されやすい』という性質があります。したがって、食品の形状が不均一であったり、食品表面に霜や氷が着していると、うまく解凍できない場合があります」
では、加熱調理する場合、どのような手順で解凍すれば良いのか。
「肉など加熱調理するものは全解凍します。一部分温度上昇や変色があっても、加熱調理するので支障はありません」
刺身など、生で食べたいものの場合は特に、解凍が難しい。機種によって、解凍のコースはいろいろあるけど、どのような点に注意すれば良いのだろうか。
「お刺身の解凍に適したコースを選択してください。例えば『半解凍』などの機能がある機種であれば、半解凍状態で仕上げ、少し自然解凍します。機種によって、ラップはしない、発泡スチロール製のトレーのまま、ペーパータオルに載せるなど、注意事項が取扱説明書に記載してありますので、ご確認いただければと思います」
ちなみに、「半解凍」などの機能がない機種の場合は、「半解凍状態(包丁でサクサク切れる状態)で加熱を止め、硬いうちに包丁で切り、後は自然解凍」がおススメだとか。目安の時間も、取扱説明書で確認するのことが必要らしい。
では、野菜や果物の解凍方法は?
「お使いの機種にもよりますが、手動レンジの低出力で様子を見ながら解凍します。
大きさがまちまちな食品の場合は、加熱時間を短めにして、解凍できた食品から取り出します。また、冷凍した果物は柔らかくなり、汁が出やすくなります」
ときどき迷うのは、ご飯の場合、解凍せずに、凍ったまま「自動あたため」でも良いのかということ。
「凍ったまま『自動あたため』や『レンジ強出力』であたためてください。ご飯の冷凍の仕方で、丸めたり、大量のご飯をひとまとめにすると、中まであたたまりにくいので、ご飯は薄く(2~3cm)、一回分(150g)ずつラップで包んで平らに整えて冷凍するのがコツです」
自然解凍よりも流水解凍、流水解凍よりもレンジ解凍のほうが早く解凍できるのは、大きなメリット。
だが、電子レンジでの解凍が失敗する理由には、「解凍の仕方」以前に、「冷凍の仕方」に問題がある場合も多いようだ。
冷凍する際には、食品を薄く延ばすなど均一化することや、水分は十分に拭き取ることなどの基本を忘れずに、たまには電子レンジの取扱説明書もチェックして、だいたいの目安をつかんでおくことが大切かも。