この夏電力供給がエアコンによってどこまで行き渡るか不安です。とはいえ、自宅で使っているパソコンのモニターが節電志向と真逆に作られた熱量放出しまくりのものです。
原発事故をうけ、節電や自然エネルギーへのシフトを呼びかける声が日本でも高まっているが、世界各地ではさまざまな省エネ・環境対策がおこなわれている。海外ではすでに当たり前であっても、日本人には目新しいことやユニークな取り組みも少なくない。そのいくつかを紹介しよう。
電力会社みずからが積極的に省エネに取り組んでいるのがスイスのジュネーブ州にある電力会社、ジュネーブ産業公社(以下SIG)だ。SIGでは、利用者が使いたい電力の発電方法を自分で選べる仕組みを提供。水力を含む太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー、化石燃料、それらの組み合わせなど5パターンから選べ、多少割高でも再生可能エネルギーを選ぶ人は多い。
さらにSIGでは2008年から「Eco21」という節電プログラムをスタート。ネットやイベントを通して節電を啓蒙しているほか、節電に成功した人にはキャッシュバックするキャンペーンも実施。これは、節電によって浮いた電気代に加えて、追加でボーナスがもらえるという太っ腹なもの。これまでのところ利用者の10%がプログラムに参加。年間30ギガワット時の電力をセーブできたという。
デンマーク南部のエーロ島は、原発建設の動きをきっかけに再生可能エネルギーへのシフトが加速した町だ。デンマークでは1970年代のオイルショック後、石油に替わって原子力発電を導入しようという動きがあり、全国で反対運動が起きた。エーロ島ではそれがさらに環境運動へと発展したのだ。
現在、エーロ島の全エネルギーのうち、45%が再生可能エネルギーで供給されている。電力に限ると65%が風力発電で、今年建設される新しい風力タービンによって発電量が倍増し、島は電力の純輸出者になる見込みとのこと。太陽エネルギーの活用も盛んで、島全体には2万8,000平方メートルものソーラーパネルがある。これは住民一人あたり約4平方メートルで、世界記録ともなっている。
アメリカ北西部に位置するオレゴン州のポートランドは、「サステナビリティ」(持続可能性)が街づくりのキーワード。環境に配慮したデザインの建築物を評価する「LEED認証」の建物の数が人口あたり全米一多く、以前コネタでも紹介した「エコトラストビル」をはじめ、100以上の建物にエコルーフを設置。雨水を洗浄したり、太陽熱の吸収によって断熱効果をもたらしたりしている。
地元の電力会社ポートランド・ゼネラル・エレクトリックでは2000年から再生可能エネルギーの提供を開始。購入には追加料金かかるものの、再生可能エネルギーを選択している世帯数は全米一だという。
また、公共交通機関をなるべく利用してもらおうという考えから、ポートランドの中心部では路面電車の運賃がなんと無料! 自転車通勤者は5,000人で、これは全米平均の約8倍。信号機にはLEDライトを採用し、80%の節電、電気代にして年間50万ドルの節約に成功している。ちなみに、市中心部のパーキングメーターは太陽エネルギーで稼動。電気自動車の普及にも意欲的で、インフラや奨励制度も整備している。
電気自動車といえば、フランスでは今年12月から電気自動車限定のカーシェアリングサービス「オートリブ」が始まる。パリを中心とした約50都市が対象で、1,100カ所のステーションと3,000台の車を用意する予定だそう。
こうした世界各国の取り組みをヒントにしつつ、日本ならではの対策も早急に進めていきたいところだ。