知らないほうが幸せなことってあるだろう。食べ物においても野菜嫌いの子供が食べているおやつに含まれていることを教えると気分が悪くなる等だ。
ビビッドなピンク色とホワイトチョコレートのマーブル模様が、スタイリッシュないちごマーブルワッフル。多くの方は、この鮮やかなピンクが着色料の色ではない、完全フリーズドライ製法されたいちごが素材に使われていると知ると、驚くことだろう。
「私たちは食べたものからできている」をモットーに、できる限り自然な素材を用いて、シンプルな製法で作り、ワッフルを販売しているのは、兵庫県神戸市灘区にある「つぎほの甘み」。ファッショナブルで愛らしいワッフルのお店で、今年の3月にオープンしたばかり。プレーンはもちろん、シナモンビート、有機焙煎ごま、チョコレート、ホワイトチョコレート、いちじくとくるみ、抹茶マーブルと種類と色が豊富で、まるでお菓子の家。繰り返すが、この鮮やかな色と素材は厳選されたまったくの自然素材なのである。
じつはここのワッフル、食品添加物であるベーキングパウダーは使われていない。その代わりに、天然(野生)酵母で膨らんだ正真正銘の発酵菓子なのだ。「つぎほの甘み」主宰の森本氏、神戸の有名な洋菓子店で、長年パティシエをされていた池尻氏に、このこだわりのワッフル誕生秘話についてお聞きした。
――なぜ体に優しい、発酵菓子を作ろうしたのですか
体に優しいお菓子は出回っていますが、おいしそうな見た目で、つい手に取りたくなる、そんなお菓子があまりありません。そこで体に優しくておいしいお菓子であることはもちろんのこと、つい手に取って食べたくなる魅力的なものを作りたかったんです。
――なぜワッフルを作ることになったのですか
手軽なオヤツで、毎日でも食べることのできる、ご飯のようなおやつを目指しました。
――発酵菓子を作ろうとした理由は何ですか
人工的な素材を使わず、体によい野生酵母を使いたかったんです。また米粉と強力粉の割合を5:5にしたことで、本場ベルギーの柔らかいワッフルのように、米粉のホワっとしていて、モチモチ感が楽しめるワッフルになりました。
1個200kcal以下の低カロリーのこれらのワッフルだが、もう一つ注目すべき点がある。それはトランス脂肪酸を一切使用していないこと。数年前から、米国のニューヨークやロサンゼルスで、トランス脂肪酸を含めた脂質の取り過ぎについて注意勧告を行っており、加工食品に含有量の表示の義務づけや、上限値の設定をしている。日本はどうだろう。食品安全委員会は2007年にトランス脂肪酸に関するファクトシートを公表し、農林水産省公式ホームページにて、トランス脂肪酸について勧告を出している。
そもそもトランス脂肪酸とは何か。農林水産省のホーム―ページによると、「トランス脂肪酸については、食品からとる必要がないと考えられており、むしろ、とりすぎた場合の健康への悪影響が注目されている……。日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されている」
日本ではトランス脂肪酸の悪影響について、あまり知られていないのは現状。何にトランス脂肪酸が含まれているかというと、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品、そして油脂の加工・精製でできるもの、たとえばマーガリン、ショートニングや、それらを原材料に使ったパンや洋菓子、サラダ油などで精製した植物油などである。
驚かれた方もおられるはず。健康に良いと思われてきた乳製品、またバターよりもマーガリンの方が、脂質が少ないからいいのではないか、という風潮がまかり通っているからである。欧米並みにトランス脂肪酸の規制がなされていない日本も、遅かれ早かれ変化がもたらされることだろう。それまでは自主的に、体によいお菓子選びをしたいものだ。