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2011年6月20日月曜日

ドイツ最高齢の女性タクシー運転手が、自主引退

一般市民にはタクシーの料金が厳しく、私はどうしてもと言う事態に連れ合いと割り勘して乗ったことくらいしか活用したことはありませんね。

ドイツ最高齢の女性タクシー運転手であるフリーダさんが、先頃90歳になったのを機に引退を決意し、自らのタクシー運転免許証を管轄役所に自主返却しました。「90歳にもなって、まだハンドル握っているのはいけませんよ」とは彼女の弁。他の高齢者ドライバーに警鐘を鳴らす意味でも、運転のプロであり続けた彼女の発言には重みがあります。

さて、ドイツでは、普通自動車免許証(日本で言うところの第一種運転免許)は終身有効で、免許証の更新手続きも一切不要。つまり、18歳当時のお肌ツルツル顔写真が添付してある免許証で、幾重にも年輪が刻まれた80歳になっても運転しているドライバーがわんさといるわけで、運転免許証が、ドイツでは身分証明書として通用しないのもうなずけます。

さて、冒頭のフリーダさんがそもそも普通自動車免許を取得したのは、日本式に言えば昭和32年、ガソリンもリッター30円台だったのどかな時代です。フリーダさんは、地元リューベックで初めて誕生した女性ドライバーとして、注目を浴びました。それ以来、長い長い歳月が過ぎ、フリーダさんが85歳の誕生日を迎えた時、五年間有効のタクシー運転免許証を更新しない英断を下したのです。実はこの決断には、ただ単に高齢という理由のみならず、「人気ドライバーのフリーダさんに、大切な顧客を奪われてしまう」という、年下の同僚からの妬みも引き金になったのだと、彼女は述懐しています。

他国同様、ドイツでも時折世間を騒がすタクシー強盗への備えも怠り無かったようで、「石をギュウギュウに詰めたキンチャクを、運転席そばに常備していました」というフリーダさんですが、幸いにも、キンチャクを使う場面には遭遇せずに済んだそうです。

タクシー業務からの引退だけでなく、プライベートでも、もうハンドルは握らないというフリーダさん。「年齢のせいで歩くのはしんどいし、週三回通っている高齢者水泳教室には、これからは市バスで通います」とのこと。

フリーダさん、これからもますますお元気で!