海外の芸術には心惹かれるものはあるが、遥か遠い異国の地。パスポートを作るのも面倒だが、空港を抜けるのも一苦労。それだけのものが得られるかはその人次第である。
地方の県道を走っていると、道路わきにあらわれる「秘宝館」と書かれた昭和な看板。俗にB級スポットと呼ばれ、「ああ、こんな場所まで来たんだな」と旅情をかき立ててくれるもの。それが秘宝館。
その館内は性風俗に関するものが展示され、個人収集された手作り感あふれる内容であることが多い。じつはこの種の施設、日本のみならず世界各地に存在している。以前のコネタで韓国のものに関してはふれたが、今回エキサイト編集部が訪れたのは華の都パリ。映画『アメリ』で有名なモンマルトルの丘の麓、ピガール地区にパリ版秘宝館「エロチズム博物館」はあった。
元々、モンマルトル一体はムーラン・ルージュやシャ・ノワールなどキャバレーが連なる歓楽街だった。現在は丘の上へ行けば行くほど高級住宅地に変わってしまったが、ピガール地区には風俗店やアダルトショップが立ち並ぶパリでも有名な歓楽街が残っている。
博物館の入場料は9ユーロ(ホームページから予約すると3ユーロの割引!)。開館は朝10時から深夜2時までと、エロの名に恥じない営業時間。写真撮影もOKということなので、早速受付のおねえさんに入場料を払い、カメラ片手に巡ってみた。
館内は常設展と企画展に分けられ、常設展も現代アート、宗教美術など分野別に二千点以上が配置されている。昔のフランスにおける売春宿の様子を展示したものもあった。しかし、これだけ男女の局部をかたどったものが並んでいると、いやらしさも全くなく、なんだかんだ言いつつも世界はエロで回っていると実感。日本の存在感も抜群で、春画をはじめエロ装飾されたパチンコ台など、時代とともに確実に埋もれてしまうような古今の珍品が、後生大事に掲げられていた。以前の企画展では、日本のアーティスト21人に焦点を当てた展示もされたようで、ジャパニーズ・エロの底力を再確認。アムール(恋)の国(突き止めればエロの本場)フランスで日本は対等に渡り合っているのだ!
この博物館、エロチズムという名前が付いてはいるが、ポルノ雑誌や映像など、直球のものは置いていない。
あくまでエロに関する工芸品が中心。よって、もしストレートなものを見たいのなら、博物館の両隣にずらりと連なるアダルトショップへどうぞ。今宵もピガール地区は、エロとともに更けていくのだ。